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4、意見を述べる権利

 これらの権利は国際障害者年の長期行動計画の中に組み入れられて、国連によって推進されました。これからは、世界の経済大国である日本は、これらの市民の権利を十分実践できる生活大国へと発展していってアジアの模範となってほしいです。

 今や、日本は福祉社会を推進して、高齢化社会を安心して住みやすいコミュニティにしていく必要があります。3つの文化論等をも考慮しつつ、阪神・淡路大震災の経験より、高年難聴者が安心して住めるまちづくりについて皆様と一緒に考え、行動していきたいと願っています。

◎澤村 誠志氏(兵庫県総合リハビリテーションセンター所長 17日の基調講演をして頂く)

【略歴】

1930年  神戸市に生まれる

1955年  神戸大学医学部卒業

1959年  シアトル市スェディッシュ・ホスピタル勤務

1960年  カルフォルニア大学留学

1962年  兵庫県のじぎく園勤務

1963年  神戸大学医学部講師

1969年  兵庫県リハビリテーションセンター付属中央病院副院長

1972年  兵庫県身体障害者更生相談所長

1978年  兵庫県リハビリテーションセンター長・同付属中央病院長

1992年 兵庫県立総合リハビリテーションセンター所長

【兼職】 日本リハビリテーション病院協会会長

ISP0(国際義肢装具協会)会長(1995~1998)

厚生省身体障害者福祉審議会委員

テクノエイド協会評議員

兵庫県リハビリテーション協議会会長

日本身体障害者施設長会副会長

【著書】

切断と義肢           (平成4年 第3版)

地域リハビリテーション白書 (平成6年)

障害者、高齢者の医竈と福祉 (平成5年)

【受賞】

昭和54年    厚生大臣賞

平成 4年     総理大臣賞

平成 5年     朝日社会福祉賞

【主張】

 わが国は、戦後の荒廃から立ち上がり、屋済成長が会保保障を支えるとの基本的な理念から、経済優先策をとってきた。そのため、経済成長には最も効率の悪い産業である医療や福祉政策が疎かにされてきたといえる。欧米先進国に比較して、GNPに占める医療、福祉予算枠が著しく低いことがこれを裏づけている。しかし、経済成長が上限に達した現状の中で、これからはより良い生活の質を目指した成熟社会を形成しなければならない。従来のような入院、入所優先政策から、地域社会における在宅医療、在宅社会サービスを優先する政策に大きく変遷すべき時期にきている。平成5年4月から実施された福祉八法の改正による市町村への権限委譲の方向づけは、むしろ遅すぎた選択と云わざるを得ない。

 さて、国際的にみた場合は、ヨーロッパ福祉先進国ではすでに1970年代の第1次石油ショックを契機に、入所、入院ケアよりも、よりよいQOLを目指して在宅医療、在宅ケア中心政策へと変換を図った。最近のデンマークでは1988年7月より個室の特養ホームよりも更により住宅に近づけるために、ホームの新設を止め、ケアサービス付き住宅重視政策を打出した。スエーデンでは、老人医療を県から市町村へ移管する方向にあり、英国では、地域におけるコミュニティ白書を出し、地域での自立生活運動 normalization へと医療と社会サービスの統合化を目指している。

 この様な現状の中で、わが国におけるリハ活動の理念を整理すると、障害をもつ人々や介護を必要とする老人が住み慣れた所に続いて住み、そこに住んでいる人々と共に一生安心して生き生きした生活が送れるように、保険、医療や福祉など生活にかかわるすべての人々が行う活動を指すと思われ、そのゴールはノーマライゼイションにあると云える。

 

 

 

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