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はしがき

 財団法人世界平和研究所は、1997年3月11日から13日の間、東京に於いて、「日本とドイツ -新たな課題と役割-」と題する日独・国際会議およびシンポジウムを開催した。

 日独・東京会議の目的は、日独両国の有識者、オピニオン・リーダーが、広範な分野での議論を深めることにより、日本とドイツが抱える課題への方策を探り、日独間の一層の協力関係を構築することにある。日独・東京会議はドイツ・アデナウアー財団との共催により開催し、トラウトフェッター・チューリンゲン州大蔵大臣、ヘトリッヒ連邦経済協力省政務次官をはじめとする総勢17名にのぼるドイツ・ミッションが来日した。

 日本とドイツは共に第二次世界大戦後の荒廃から復興し、現在は米国と共に世界の三極経済体制を構成するまでになった。戦後の目覚ましい経済発展のもとで両国は、生活の向上と社会の安定そして経済的繁栄を達成してきたが、戦後50年を経て、大競争時代への突入、人口の少子高齢化、産業空洞化への懸念といった内外の環境変化により、戦後の環境変化を支えた社会・経済システムの構造的な見直しを迫られている。
 安全保障面では、冷戦の終結とドイツの再統一、米国中心から国際ルールに基づく協調による平和の創出といった国際的枠組みの変化とともに、日独への積極的国際貢献の期待が高まっている。さらに、両国は環境・エネルギー、新しい南北経済の所得格差是正などの世界的課題に対し、一層、主導的な役割を果たすことが求められている。

 日独会議は、このような問題意識のもとで開催された。3月11日、12日の両日は、クローズド・セッションを行い、3月13日には公開シンポジウムを開催した。クローズド・セッションでは、島田晴雄・慶応義塾大学教授、小島明・日本経済新聞論説主幹、小島朋之・慶応義塾大学教授、佐藤誠三郎・世界平和研究所研究主幹が日本側を代表して発表を行った。ドイツからは、トラウトフェッター・チューリンゲン州大蔵大臣、ヘトリッヒ連邦経済協力省政務次官、シェルホルン・クアント財団理事、ティッテン・エーベンハウゼン研究所主任研究員が発表を担当し、幅広いテーマにおいて活発な議論が行われた。

 3月13日に開催した公開シンポジウムでは、「日本とドイツー新たな課題と役割一」とのタイトルのもとで、日独が抱える課題に精通する、福川伸次・株式会社電通総研代表取締役社長、佐瀬昌盛・防衛大学教授、トラウトフェッター・チューリンゲン州大蔵大臣、ケーフェンヘルスター・ミュンスター大学政治学研究所長をパネリストに迎え、大河原良雄・世界平和研究所理事長の司会のもと有益な討論が行われた。

 なお、日独・東京会議の開催は、日本財団の補助金によるものである。

 

 

 

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