ずらん(一七、三〇〇総トン)をぜひ掲げておこう。
本船は、今年六月十一日に姉妹船すいせんと同時に敦賀〜小樽航路にデビューした。三二、四〇〇馬力の主横を二基搭載し、航海速力は国内最大の二九・四ノット。従来より八時間も短縮し二十一時間で一、〇二四キ回離れた両港を結ぶ。全長一九九・四五桁。旅客五百七人。二等運賃は片道七千二百九十円。
ところで同社のフェリーは、すべて花の名が代々名付けられている。現在は舞鶴〜小樽間がフェリーらいらっく、ニューあかしあ、フェリーらべんだあ、新潟〜小樽航路がフェリーあざれあとフェリーしらかば、ニューはまなす、ニューしらゆりが就航している。
なお、すずらんの命名由来は、同社が昭和四十六年日本海航路開設時に投入した第一船すずらん丸一九、〇五三総トン・フェリー伊豆、フェリーらいらっく、ゆうとぴあと改名)から本船進水の平成七年が二十五周年を迎えたので「気持ちを新たに初心に返る」(平成七年七月十四日付け日本海事新聞)という思いから初代の名をとっている。丸なしになったのは、高速感をだすためか。すずらん丸は耐航性を増すため、船首をドームで覆っていたので思い出される読者も多いだろう。
*ストレリチア ラテン語でStreliZia。バショウ科の多年草といっても想像つかないが、「日本語大辞典」(講談社)にカラー写真が載っているので参照されたい。
東海汽船の客船も、花の船名で知られる。さるびあ丸、ふりいじあ丸、かとれあ丸、あじさい丸、かめりあ丸、はまゆう丸などは花が思い浮かぶだろう。しかし、貨客船すとれちあ丸(三、七〇八総トン)だけはなかなか分からない。
*すみれ 菫。花の形が大工が使う墨入れ(墨壷)に似ているので名付けられたという。わが国には五十種もあり、別名相撲取花、相撲取草ともいうそうだが、相撲取りとの関係は?
すみれ丸(二、九九二総トン)は上野興産の油タンカーで、平成五年の進水。広島県能美船籍にすみれ(三一総トン)もいた。こちらは昭和三十八年の進水である。
*なつめ 棗。平成四年進水の曳船なつめ(一七三総ノ)は東京船籍でシンキという会社が所有。
* フェニックスヤシ科で宮崎県の県木にもなっている。
フェニックスエキスプレス(一一、五七八総トン)は川崎〜宮崎航路に就航するマリンエキスプレスのフェリー。「フェリーを超えたハイパーフェリー」というキャッチフレーズだが、ハイパーフェリーってなに?平成五年の進水。四六、二〇〇馬力。二六・二ノットで走る。エーゲ海をイメージした内装で八八七キロの船旅を楽しみたい。
ふえにっくす(一一六総トン)はいわき船籍の双胴客船で平成四年三月の進水、翌月誕生の二世は、ふえにっくすじゅにあ(四五総トン)と名付けられている。久工業所所有。他にふえにっくす(六八総トン・軽合金・長崎県生月船籍)、ふえにっくす2(七四総トン・軽合金・静岡県戸田船籍)も。
*まさき 柾。正木。海岸に生え垣根に使われる常緑低木のこの名を使うのは、運輸省のまさき(二七総トン)。強化プラスチック製で名古屋船籍。
*もろき 同船(もろきふね)は諸木船と同意義で多くの木材を合わせて造った船のことだ。もろきという植物はない。櫃石(ひついし)産業の第一もろき丸(一九四総トン)や坂本土木の第二もろき丸は鋼船ではあるが、もろきふねのもろきを由来としていると推察しあえて植物船名に入れてみた。両船とも坂出船籍の平水区域土砂運搬船。
*ゆずりは 譲葉。葉を正月の飾りに使うこの木の名の由来は「新しい葉が生長してから古い葉が譲って落ちるから」(広辞苑)という。
ゆずりは丸(九九九総トン)は、NK船級をもつ内航黒油タンカー。横浜船籍で船主は豊友海運。昭和五十九年進水。
*わかば 若葉。商船三井の若葉丸(一〇二、五二総トン)はLNGタンカーだが、本船だけが漢字船名であとはすべてひらがな船名。
わかば(六二三総トン)は日本塩回送の貨物船。同船名にタグボートが一隻。わかば丸は十四隻もいた(番号付きが十三隻)。
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