気になる船名あれこれ(21)

安田榮治
〔植物船名〕
前々回の「鳥船名」では、海上自衛艦の艦名付与基準を書いたが、今回は保有船艇の総合計五〇八隻(平成七年十一月現在)を誇る海上保安庁の船名付与基準についてふれておこう。
まず、船艇の種別や区分の記号はどうなっているか。これは「海上保安庁の船舶の番号及び名称の付与標準」(昭和二十四年十月二十四日付海上保安庁達第五四号一に定められている。これを、業務別にざっと隻数をあげると、つぎのようになる。
*警備救難業務用船(巡視船・巡視艇・特殊警備救難艇)四二〇隻
*水路業務用船(測量船)一三隻
*灯台業務用船(航路標識測定船・設標船・灯台見回り船)七二隻
前記のほかに、海上保安庁法の船舶の定義に該当しない、教育業務船(実習艇)の三隻を加えると総合計が五〇八隻となる。それでは、巡視船艇の区分記号の意味と、その船名から推察できるおよその命名由来をあげながら代表的な船名を二、三列記する。
なお、邊見正和氏著「海上保安庁巡視船の活動」(成山宣)によれば、河や山等の名称で船型を決め、識別しやすい船名をつけるため「巡視船艇の番号・船名付与分
類」という基準もあるという。船型別の枠に語呂の良さ・知名度・なじみやすさなどを加えて選定されるそうだ。配属港に親しまれる船名ということが肝心なのだろう。前述の著書も参考にして記す。
@PLH(Patrol Vessel with Helicopter)
*ヘリコプター二機搭載型…日本国の美称
しきしま・みずほ・やしま

10-021-1.gif

*ヘリコプター一機搭載型…海峡し水道、山、日本の旧国名
そうや・つがる:つらが・ざおう・えちご・せっつ
APL(Patrol Vessel Vessel Large)…半島、岬角、湾、島、海岸
のじま・しれとこ・まつしま・れぶん・よなくに・むろと
BPM(Patrol Vessel Medium)…河川、島
おいらせ・さと・くなしりCPS(Patrol Vessel Small)…山
みはし・びざん・あかぎ
DFL(Fier Fighting Boat Large)…竜
ひりゅう・なんりゅう
EPC(Patrol Craft)…波、雲、霧、雪、月
はやなみ・むらくも・あそぎり・あそゆき・ゆうづき
FCL(Craft Large)…風、化すずかぜ・ひばかぜ・ていこ
GCS(Craft Small)
無し
HFM(Fier Fighting Boat Medium)…滝
ぬのびき・けごん・きよたきIMS(Monitoring Boat Small)…名勝旧跡、山
さいかい・きぬがさJGS(Guard Boat Small)…天象地象
はやて・いかずち
KSS(Surveillance Service Boat Small)…星
でねぶ・あんどろめだ・こめっと
L0R(Oil Recovery)…鳥
しらさぎ・ちどり・いそしぎM0S(Oil Skimmer)…水道・瀬戸
つるみ・びさん・なるとNOX(Oil Boom Extender\非自航)…Mを冠した百番台の数字

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ