海洋汚染防止ワンポイント(94)

海防法に規定するボンド制度についてA
今回は海防法(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律)に規定するポンド制度によって、船舶の航行が海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがある場合にも、当該船舶を釈放することとなるのか否かについて、ご説明いたします。
海洋法条約では「海洋環境に対し不当に損害を与えるおそれがある場合には、船舶の釈放を拒否することができ又は最寄りの修繕のための適当な場所への航行を釈放の条件とすることができる」と規定しております。
この条約の規定を踏まえ、海防法に規定するボンド制度においては、当該船舶の航行を継続することが海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがあると認めるときには、担保金等の提供のみによって釈放等をなすことはせず、船舶の修理その他の必要な措置がとられることを釈放等の条件とすることができるようにしております。
ここで「当該船舶の航行を継続することが海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」とは、具体的には、衝突または乗り揚げにより、船体外板に亀裂が発生し、応急修理をしなければ航行途中に大量の貨物油またはビジルが排出され、海洋生物、漁業への影響等海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがある場合などであり、またどのような排出が海洋環境の保全に障害を及ぼすかについては、排出油の種類、排出量、沿岸への距離、海潮流、水深、閉鎖性水域の別などにより異なりますが、一般的には大量の油等の排出により通報義務(海防法第三八条第一項=油等の排出の通報等=)が課せられている程度の量の排出がこれに相当するものと考えられます。
(運輸省環境・海洋課海洋室)

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