漁船 第二十五 五郎竹丸転覆事件 裁決書から

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横浜地方海難審判庁は四月二十六日、静岡県御前埼灯台東方沖合で平成六年十二月二十六日夜転覆沈没し、乗組員十八人が死亡・行方不明となった漁船第二十五五郎竹丸の海難事件に対し「出漁を中止しなかったことと満載喫水線の不遵守が原因」とする裁決を言い渡した。次に裁決書の概要を紹介する。なお、本件は第二審に係属中につき未確定である。

 

事実(概要)
*船種 漁船(中型まき網漁業=知事許可漁業=の網船)
*船名 第二十五五郎竹丸
*船籍港 静岡県田方郡戸田村
*船舶所有者 山田買
*総トン数 三九トン
*機関の種類 ディーゼル機関
*機関の出力 四一一キロワット
*指定海難関係人 船舶所有者
*事件発生の年月日時刻および場所 平成六年十二月二十六日午後七時十分ごろ、静岡県御前崎東方沖合

 

五郎竹丸船団の構成
五郎竹丸船団は、網船第二十五五郎竹丸(以下“25号”という)、灯船第五五郎竹丸(総トン数三一トン、以下“5号”という)、運搬船第十二五郎竹丸(総トン数一三九トン、以下“12号”という)、運搬船第三五郎竹丸(総トン数五二トン、以下“3号”という)および灯船秋丸(総トン数四五トン)の五隻の構成である。

 

25号産道の経線と要目
25号は、トン数測度法が改正されたのを機会に、これまで約七年間使用してきた15号の代船として計画されたが、漁業許可基準の関係から増トンが認められず、三九トン型を維持する必要があった。
このため、長さ、幅、深さを拡大する代わりに船橋、機関室、ギャレーなどを縮小することによって総トン数を15号と同じにして、省エネルギーを図り、船速を速くしたうえ、甲板作業場を拡大して作業性能をよくするなどの操業の効率化を図ることを目的として、長崎市の造船所で中型まき網漁船として設計、建造され、平成三年八月に進水した。

 

 

 

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