沿岸域環境保全リスク情報マップ

ワークショップに六十人
当協会は、運輸省の後援を受け去る三月六日午後一時から東京・蟹町の弘済会館で「沿岸域環境保全リスク情報マップ・ワークショップ」を開いた。

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この日のワークショップ(研究集会)は、当協会がわが国で初めて試作したセンシティビティ・マップ「東京湾沿岸域環境保全リスク情報マップ」に対する関係利用者の意見を聴取し、今後引き続いて行う試作事業に反映させ、なお一層有効な同マップの整備・普及方法のあり方を探り出すことを目的にして開いたものである。
集会には、関係官庁(運輸省、海上保安庁、防衛庁、環境庁、水産庁、建設省、通産省)、関係地方自治体(東京都、千葉県、川崎市、横須賀市)、関係団体や事業所などから六十五人の防災および環境問題の専門家などが参加した。
集会は、当協会の西山専務理事の主催者あいさつで始まり、次に運輸省の谷口環境・海洋課長から後援者のあいさつがあった。このあと、当協会の池上海洋汚染防止研究部長が本事業の経過を説明した。続いて同部の大貫主任研究員から「東京湾沿岸域環境保全リスク情報マップの概要説明」および「米国ESマップに関する現地調査結果報告」を行った。次いで質疑・意見交換を行い、最後に内外地図株式会社の柳田博士の「環境保全リスク情報マップ電子図化に関する一考察」と題する講演があって、午後四時に閉会した。
ワークショップの開催を通じ、当協会が試作した「東京湾沿岸域環境保全リスク情報マップ」に対する関係者の幅広い意見を聴取することができた。当協会では、貴重な意見の一つ一つを可能な限り積極的に取り入れ、今後の事業発展に大いに反映させていきたいと考えている。
またこのワークショップの模様は、業界紙等でも大きく取り上げられ、わが国におけるセンシティビティ・マップの整備・普及事業に対する期待と関心の高さを伺い知ることができた。
〈東京湾沿岸城環境保全リスク情報マツプに対する意見の抜粋〉
※使用目的に応じた大きさおよび縮尺のマップを何種類か作成してはどうか。
※油や海水による汚損からマップを保護するために、ラミネート(層板)加工および水に濡れても破れない材質の使用などを考慮すべきではないか。
※過去の流出油事故に関する発生地点などの詳細な情報を加えるとともに、これを基に事故発生の蓋然性が高い海域を特定し、危険海域として記載してはどうか。
※特に海岸線の状況など、沿岸域情報の目まぐるしい変化に速やかに対応するためには、協会の想定している五年ごとのマップの改版では不十分である。一年ごとに行うべきではないか。
※マップの改版作業を効率的に進めるため、データベース化など収集情報の管理システムを確立すべきではないか。
※流出油拡散シュミレーション機能などを備えた電子情報マップの開発を検討すべきではないか。

 

 

 

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