レーダー監視に基づく情報提供

第三管区海上保安本部航行安全課 専門官 柏崎喜重

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はじめに
東京湾海上交通センターは、昭和五十二年二月に開設され、間もなく二十周年を迎えようとしております。開設以来当センターは、東京湾における船舶交通の安全確保のための情報提供業務と浦賀水道航路および中ノ瀬航路における管制業務を行ってまいりました。ここでは業務の中から、昨今のレーダー監視に基づく情報提供業務の状況を紹介いたします。
海上交通環境の変化
東京湾は、首都圏に位置した海域面積約十二万ヘクタール、水際線延長八百六十キロキロメートルの閉鎖性海域であり、明治以降約二・三万ヘクタールの海域が埋め立てられました。
現在東京湾横断道路建設工事、南本牧埠頭埋め立て建設工事、川崎港浮島二期埋め立て工事などの大規模プロジェクトによる工事が行われ、さらには東京港の新海面処分場計画等新たな埋め立て計画が進められ、東京湾における船舶の可航水域および停泊水域が年々減少している状況にあります。その中で船舶の大型化、外国船舶の増加など海上交通環境が変化しております。
平成七年に浦賀水道航路を通航した管制対象船舶*は、一万総トン以上の船舶を含め二九、六二九隻であり、前年に比べて七〇三隻、約二・四パーセント増加しており、十年前の約一・三倍と増加傾向を示しております。
管制対象船舶のうち巨大船の隻数は一〇、四九一隻であり、十年前の約一・二倍と増加しており、船舶の大型化を示しております。
外国船舶は、管制対象船舶のうち約六八パーセントを占め、特に巨大船の中では約八七パーセントを占めるなど外国船舶の増加と大型化が顕著となっております。
国際VHF16CHにて情報を提供
東京湾海上交通センター運用管制課が行うレーダー監視に基づく情報提供業務は、東京湾内の三カ所(浦安、本牧および観音崎)にあるレーダー局からのレーダー映像を基に、二十四時間レーダー監視を行っている管制官が衝突および乗り揚げなどの海難事故を防止するために、国際VHF16CHを使用して行っているものです。
レーダーサービスエリアは東京湾奥から浦賀水道航路中央第一号灯浮標から南約七海里付近までの海域を監視しているものであり、情報提供の内容は、船舶から要請を受けて行う他船の動静、錨泊船状況などの個別情報、衝突のおそれのある危険な見合い関係になったときに行う特別情報、船舶の安全航行に必要な船舶の動静、操業漁船の状況、工事作業の状況などを行う航路情報があります。
これらの情報提供の対象船舶はレーダーサービスエリアにある船舶であり、情報提供の実効を期すために、昭和五十二年十一月に第三管区海上保安本部から行政指導として海事関係者に対し、東京湾内における船舶航行の安全確保のため、東京湾海上交通センターとの連絡の保持として、湾内航行中は国際VHF16CHの聴取をお願いしているところであります。
平成七年に運用管制課が行った

 

 

 

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