ヤーでつながれた浮きを井戸内の水面に浮かべます。浮きの上下は検潮儀に伝わる仕組みになっているので水面の高さを測ることができます。
超音波により海面の高さを測る装置(気象庁では津波観測計とよんでいます)を図2に示します。海面の上方に設置した送受波器から海面に向けて超音波を発射し、それが海面で反射して戻るまでの時間を計測することによって、送受波器から海面までの距離がわかります。一方、送受波器の設置高度は水準測量によって決まっていますので、これを基準として海面の高さを知ることができます。
しかし、検潮所は井戸の高さに制限があり、また津波観測計は送受波器の高さや取付柱の強度に制限があるため、測ることのできる津波の高さには限界があります。
気象庁では、陸上に侵入するような大津波に対しても観測が続けられるように、圧力センサーにより海面の高さを測る「巨大津波観測計」とよばれる装置を、検潮所や津波観測計に併設しています。
巨大津波観測計は図3のように地面に埋め込むように設置されていて、大津波の襲来に耐えて観測を続けることのできる強度を備えています。津波により運ばれた海水による水圧を圧力センサーで測ることによって津波の高さを知ることができます。

<図2> 津波観測計の構造

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5、おわりに
気象庁ではこれらの装置による津波の監視を全国七十七地点で実施しています。観測された津波の記録は即時に管区気象台等に伝達され、防災情報を出す上で貴重な資料となっています。
(主任技術専門官)

<図3> 巨大津波観測計の構造

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平成八年の旅客船

重点指導項目
運輸省海上交通局国内旅客課は、平成七年に発生した旅客航路事業における旅客船の事故を分析して、平成八年の旅客船の安全対策として、次の重点指導項目を決めた。
1、マンネリ化からくる人為的ミスを防ぐため、社外アドバイザー等による基本運航の確認
2、適切な見張りの実施、余裕ある時期の避航、海上交通ルールの遵守および運航管理規程の遵守
3、高速化に対応した安全運航の確保、特に2に加え船位確認の励行、発航前の船体および機関の整備・点検の強化ならびにシートベルトの着装
4、海上タクシー等不定期航路事業者の組織化の推進(海上保安庁と連携)および安全管理体制の確立等安全対策の推進

 

 

 

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