かった。なお、作業演練のための五〜六メートルの風で実施したが、振れ回りも定型ではなく、はっきりした効果は認められなかった。
次に考えられることは、風圧を最小限に抑えるとともに横移動しにくいよう船体を風に立てることである。
機関の種類にもよると思うが、前進にも後進にもならないその場回頭(横関前後進回頭側いっぱい転舵、ハウスラスタあれば併用)を風上に向かって実施し続ける。
これは風向計のみにより右舷から風をうけていれば右舷へ回頭、左舷から風をうけていれば左舷へ回頭するだけであるので、どのような船でもできるのではないか。

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四、走錨したら
錨鎖長が足りなければ所定の長さまで伸ばすかいっぱいまで伸ばす。それでも止まらなければ機関を使用し転錨する。三五月(平均)〜五〇メートル(最大瞬間)の風で二軸船であれば風下側磯前進徴速いっぱい転舵で起きてくるとのこと。
強烈な風が予想されたり、風下の岩礁を避ける等捨錨を予定するのであれば、ケンタシャックル外しは時間的制約や動揺のため作業不向きと思われるので、前もって錨鎖の根切りをしておき、レッコーするのがよいと思われるがいかがだろうか。

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五、おわりに
地震対策が叫ばれている昨今、果たして大規模地震は来るのだろうか。同様に百メートル近い風は吹くのだろうか。
〈お順い〉走錨については古来から船乗りのテーマでありながら文献があまりありません。貴重な体験、ご指摘等ありましたらご教示お願いします。

 

 

 

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