策であれば、最初から把駐力二倍の二錨泊、いわゆる二丁アンカーがよいように思われる。
錨鎖神出量は一般に
3D+90m(20m/secの場合)
4D+145m(30m/secの場合)
D:水深(m)
と言われているが、より危険室二〇メートル以上の風についての慣用式は見当たらない。
3、バラスト
風の影響を少なくするためにバラストを積み、船体を少しでも沈下させる。キティ台風の時走錨したのは空船か半載船であった。
一般に船首側の方が船尾側より風圧面積が大であり、振れ回りしやすいので、できればトリムハイヘッドにする。
4、守錨
@走錨の早期発見
湾内で走錨すると、他船との衝突や座礁の危険があるため、なるべく早期に対処しなければならない。走錨を早期に発見するためには、錨位(船位ではない)を正確に測定しておく必要がある。
錨位に錨鎖長を勘案した船位サークルを描き守錨の参考とする。
錨は、投錨後海中に没して、目測、レーダー等での測定が不能になる。錨に大きなブイをつける方法も考えられるが、それでも一節近くの大きな誤差が出ると思われる。従って、投錨時に錨位を正確に測定しておかなければならない。
投錨時の錨位を自船のホースパイプ位置と仮定して、投錨時の船位に船首方位方向ヘボースパイプと船橋間の距離を加味して錨位とする。
情報装置等に直接入力する場合はホースパイプ・船橋問は固定であるので、各船首方位に対する修正用緯度・経度の表またはグラフを作成しておくと便利である。
走錨発生時には大きなショックがあるとか、錨鎖に震動が伝わるので分かるとか言われているが定かではない。
A振れ止め
海潮流がなく無風であれば錨鎖はホースパイプから海底まで垂直に垂れて船体は動くことはない。
しかし、風が強く吹いてくると船体は∞の形を描き振れ回る。
この振れ回りは、風力が大きいほど概して大きく、振れ回る速度も大となる。特に船体が外側いっぱいに振れたあと船尾を急激に外側へ振り、後退し、船首が反対舷(内側)に向く時、錨鎖は最大の衝撃力を受ける。この衝撃力が風による走錨の原因になるという。このためこの衝撃力を小さくすること、すなわち振れ回りを抑制することが走錨防止となる訳である。
一説によると、後進をかけると振れ回りが小さくなるとのことである。小生も基本的にはこの説に賛成であるが、前方から強風を受けている時に機関を後進にかける勇気がないため前進を抑制する方法、すなわち抵抗物を引げば振れ回りを抑制できると考え、二八ミリ程度のチェーン約一節を船尾に用意し強風に備えたが、実験の機会がな