平成八年の要救助海難と人身事故の発生状況

海上保安庁発表
平成八年の要救助船舶(救助を必要とする海難に遭遇した船舶)は、一、八五八隻で、前年に比べ一〇四隻増加しました。また、人身事故(船内や海浜等における人身事故)は、二、四四八人で、前年に比べ一〇七人増加しましたが、過去十年で最低となった昨年に次いで少ないものとなりました。これらの海難や人身事故により死亡・行方不明となった人は、一、五二六人で前年に比べ一〇一人増加しました。
〔資料−1〕
I 海難の状況〔資料−2、3〕
1、概要
(1)要救助船舶一、八五八隻(一〇四隻増)を用途別にみると、漁船が七〇五隻(三二隻増)と最も多く、次いでプレジャーボート等六七三隻(六六隻増)、貨物船二三六隻(二四隻増)、その他の船舶(曳船、台船、作業船等)一六六隻(一八隻減)、タンカー四七隻(一隻減)、旅客船三一隻(一隻増)となっている。
(2)要救助船舶の乗船者のうち死亡・行方不明は、二一四人となっており、前年に比べ一八人増加した。
同死亡・行方不明者を要救助船舶の用途別にみると、漁船が九五人(九人増)と最も多く、次いで貨物船七〇人(一四人増)、プレジャーボート等四〇人(七人減)、タンカー五人(五人増)、その他の船舶二人(五人減)、旅客船二人(二人増)となっている。
2、特徴(1)二月のニューギニア島付近の地震に伴う津波により、太平洋沿岸の漁港等に係留中の漁船、プレジャーボート等五一隻が転覆、流出等の被害を受けた。
(2)プレジャーボート等の要救助船舶は六七三隻と前年に比べ六六隻増加しているものの、これらに伴う死亡・行方不明者は七人減少しており、機関故障や燃料欠乏による漂流など、即時に生命の危機までには至らない比較的軽微な海難が多かった。
II 人身事故の状況〔資料−4〕
1、概要
(1)海難によらない乗船者の人身事故
海難によらない乗船者の人身事故は八四七人で、前年に比べ九二人減少した。このうち三一五人が死亡・行方不明となっており、前年に比べ一一人減少した。
事故種類別にみると、負傷が三二五人(うち死亡三五人)と最も多くなっており、次いで病気二一五人(うち死亡五二人)、海中転落二一四人(うち死亡・行方不明一六九人)となっている。
(2)海浜事故等
イ、海洋レジャーに係る海浜事故等は七六〇人で、前年に比べ一二六人増加した。このうち三三七人が死亡または行方不明となっており、前年に比べ二七人増加した。
事故種類別にみると、遊泳中が二四二人(うち死亡・行方不明一四〇人)と最も多く、次いで磯釣中一八○人(うち死亡・行方不明九八人)となっている。
ロ、その他の海浜事故等
その他の海浜事故等は八四一人で、前年に比べ七三人増加した。このうち六六〇人が死亡・行方不明となっており、前年に比べ六七人増加した。
事故種類別にみると、自殺が四五〇人(うち死亡・行方不明三九五人)と最も多く、次いで岸壁からの転落二八九人(うち死亡・行方不明一八九人)となっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ