また「幽水」

巡視船ちょうかい 船長 湯山典重
一、 はじめに
1、 総括
本誌の平成八年(一九九六年)一月号に「幽水の言挙げ」として舞鶴港の幽水現象を載せていただいて早や一年になります。
平成八年四月に現拝命、六月に秋田の曲水が起こり、舞鶴と秋田で起こるとは、幽水は意外に多く起こっているのではと思うようになりました。
なお、筆者の考察は、幽水のアナログ的な比較検討程度で、学問上の解析やデジタル化などは、大学の大型水槽やコンピューター・シュミレーションによらねば無理でしょう。
また、このレポートは、幽水への安全な対応を推進しているもので、個々の港への批判など一つもありませんので、その点ご理解願います。われわれ航海者は、しけの沖合などから港に帰ると、えも言われぬ幸福感に満たされ、まさに「母なる港」のありがたさ、先人から今に至る港関係者に、まず感謝の意を表するのが誠の道と思います。
これらのことを本誌上で世に伝えていただき、各界の方々のお力をお借りすることが安全に役立つように思えてなりません。よろしくご協力方お願いします。
2、 秋田港(秋田船川港・秋田区=−図1)
旧雄物川沿いに発展した河口港で、潮差は小さく、流れは雨量に左右され、港口付近では新城川の影響も加わり大雨の後など外方へ向かう二ノット内外の強い流れがあります。
本船の定係バースは「下浜マイナス四メートル物揚場」で主な流れの影響は秋田運河と草生津川の二つです。

 

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3、 本船「ちょうかい前任の「わかさ」と同型の千トン型巡視船で、昭和五十四年竣工、

 

 

 

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