海の気象

全球モデルによる中期予報 室井ちあし(気象庁 数値予報課)

1、 全球モデルによる予報資料気象庁では、船舶の安全運航の確保や航路情報サービスを支援するために、船舶向けのさまざまな気象情報を提供しています。ここでは、そのなかの全球モデルによる中期(八日程度先までの)予報に関する話題を紹介します(全球モデルの概要については「海と安全」七月号を参考にして下さい)。
気象庁の現在の全球モデルは、水平分解能約五五キロ材で、一九二時間(八日)予報を一日一回実行しています。その予測資料は日々の週間天気予報や台風針路予報などへの利用とともに、気象無線模写通報(JMH)などを通じて部外にも提供され、最適航路情報といった船舶に対する情報サービスの基礎的資料としても用いられています。
テレビでおなじみの明日・明後日の天気予報(短期予報)については、数値予報技術の進歩によりかなり精度が高くなってきています。さらにその先の週間予報についても精度は向上していますが、予報時間が長くなるにつれて精度が低下するのは避けられません。従って、その資料の利用にあたっては精度についての十分な配慮が必要です。

 

図1 1996年6月19日21時の天気図

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図2 1996年6月24日21時の天気図

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図3 1996年6月24日21時の予測

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2、 予測例
ここでは例として、日本の東海上で発達する低気圧の予測をとりあげてみましょう。
図1と図2は、それぞれ一九九六年六月十九日21時、六月二十四日21時の数値予報天気図です。十九日に北海道東部にあった低気圧が猛烈に発達しながら東進し、二十四日にはアリューシャン近海に達しています。この低気圧に対する予報例をみてみましょう。図3は、図一の時刻を初期値として計算した二十四日21時の予測(五日予報)です。これによると、アリューシャン近海の低気圧は中心気圧は若干高いものの、その発達の程度や位置などは精度良く予測さ

 

 

 

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