新海洋時代に向けて邁進

(社)日本海難防止協会会長寺井久美

 

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年頭所感

謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。
昨年は、景気は上向くと言われながら、予想に反して横ばいに推移したようでした。また、病原菌O−一五七が猛威をふるい大きな社会問題となりましたし、厚生省等の不祥事は国民に大きな不信感を残しました。しかし、幸い大規模な災害はなく、比較的平穏な一年であったと思います。
一方、うれしいできごともありました。中でも「海の日」の実現は、私どもの永年の願いでありましただけに、関係者の喜びはひとしおでありました。
また、わが国において、海洋法条約が発効したことは特筆すべきできごとでした。そして、海洋法条約の実施に伴って、新しい海洋秩序の時代を迎えようとしています。
当協会は、このような動きの下で、海洋汚染防止に関する国際協調の必要性と海難防止の見地から昨年七月にシンガポール事務所を開設いたしました。
本年は、当事務所の活動を軌道に乗せ、マラッカ海峡を中心とする海域の船舶航行安全および環境保全対策に関する調査研究に努力する所存です。
一方、当協会の海上安全対策につきましても、一層の運動の推進が求められています。ここ数年、要救助海難船舶数は減少傾向にありますが、その数は千七百隻余にのぼっており、まだまだ多きを数えています。中でもレジャー関係船艇の海難隻数だけが増加していることは問題であります。
それらの事故原因の多くが、相変わらず見張り不十分・機関取扱不良・操船不適切等いわゆる人為的要因であることは残念でなりません。当協会は、使命である「海難事故ゼロの達成」に向かって邁進する決意でありますので、皆様の一層のご指導とご協力を賜りたいと存じます。
最後に、日ごろから絶大なご支援とご協力をいただいている運輸省、海上保安庁、日本財団、日本海事財団はじめ会員および関係の皆様方に対し、深く感謝申し上げますとともに、まずまずのご健勝とご活躍をお祈りいたします。

 

 

 

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