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基調報告

 

第13回(財)日本中学校体育連盟研究大会
兵庫大会実行委員会
会長坂東鐵二

 

時あたかも新制中学校が設立されて50年という教育の節目を向かえ、そして、眉睫に21世紀を迎えようとしております。
学校教育においては、「時代を越えて変わらない価値のあるもの」と「時代の変化と共に変えていく必要のあるもの」すなわち、“不易”と“流行”を十二分に見極めつつ生徒たちへの教育を進めていくことが大切であります。
このように考えるとき、21世紀を生きる生徒たちに必要なことがらは、自分で課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動し、問題をよりよく解決する資質や能力であり、また自らを律しつつ、他人と共に協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えられます。勿論、たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもなく、こうした資質や能力を、バランスよく育んでいくことが重要であります。
学校体育や運動部活動を含む体育・スポーツ活動においては、自主性、判断力、相手を思いやる心などの面で大いに期待され、果たすべき役割も大であります。
本研究大会は、第1回研究大会の基調報告にある「全国中学校生徒がより豊かな生活をするための体力・技能・社会性を高める」及び「最高水準を目指す全国体育大会の資質の充実を図る」という2つの提言を継承しながら、第12回の長崎大会と同様に「生涯体育・スポーツを指向した運動部活動を目指して」を研究主題に掲げて協議・研究を深め、皆様と共に課題の解決を図ってまいります。
自主的、自発的に行われている学校教育活動の一環としての部活動は、集団や個人が、自分の生活の一部として「生涯体育・スポーツ」を指向するための基礎・基本であります。運動部活動の役割は、生徒に「生涯体育・スポーツ」の実践ができるようにスポーツの魅力や喜び・楽しさ等を体験させると同時に、生涯、自らが進んで運動実践ができるようにするための諸能力を身につけさせるという2つの側面から考えなければならないと思われます。
今後、「生涯体育・スポーツ」をめざす運動部活動として、避けては通れない課題も多くあります。それらは、成長期におけるスポーツ障害や一部の勝利至上主義中心の活動からくる問題(Over Use酷使・Burnout燃え尽きる)、地域や種目協会が行うスポーツクラブ・商業スポーツクラブとの関係、さらに学校週5日制の趣旨徹底と運動部活動のあり方、生徒数減少に伴う指導者数の不足の問題などのことがらであり、これらの早期解決が強く望まれています。
そこで、第13回兵庫大会では、これまでに行われてきた研究大会において構築された貴重な成果を十分に評価し、継続し、尊重し、さらに前述させて頂いた基調を念頭に討議を賜わる内容を示させていただきます。
 研究主題「生涯体育・スポーツを指向した運動部活動をめざして」
(1)シンポジウム「21世紀のスポーツ部活動への期待」
(2)分科会
第1分科会「中体連の組織運営と競技力向上対策について」
一中体連の組織運営上の諸問題について一
一効果的な競技力向上対策について一他
第2分科会「中学生期の心身の発育発達段階を捉えたよりよい指導をめざして」
一生徒の自発的・自主的活動を伸ばす指導のあり方一
一スポーツ障害の現状と諸問題一他
第3分科会「これからのよりよい運動部活動と競技会のあり方をめざして」
一学校週5日制と運動部活動のあり方一
一競技会における諸問題一他
第4分科会「学校外指導者の活用について」
一各都道府県の学校外指導者の導入状況と諸問題一他
本研究大会では、その趣旨を明確にするとともに、現在、中学校運動部活動が抱えている諸課題の解決を正面に据え、シンポジストの方々による貴重な助言、提案、さらには分科会での研究発表などをもとに参加者全員による積極的な討議がなされ、今後の方策を探究していただくことを念願して基調報告とさせていただきます。

 

 

 

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