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―生徒が自発的に生き生きと取り組む魅力ある運動部活動を目指して―

 

三重県中学校体育連盟研究部
鈴鹿市立創徳中学校佐藤司

I はじめに

中学校の運動部活動は、生涯体育・スポーツの基礎を培う場として意義ある活動である。本来、生徒は自らの関心・意欲によって入部し、自発的・自治的に活動し、自らの力を深めていく中で、運動の楽しさや喜びを味わい、生涯にわたって親しむことのできるスポーツを見出す。
個々の生徒は様々な自己のねらいを持ち、運動を選択する。そして、全員がその運動種目に興味を持ち、より楽しみたいと思っている。だからこそやる気が高まり、自発性が生じてくる。
しかし、活動がすすむと、試合に勝つことに喜びを感じる生徒、仲間同士でゲームを楽しむことを目的としている生徒など、目標の枝分かれもすすんでいく。勝利至上主義による過度な練習や試合への疑問、またそれに伴う発育期のスポーツ障害、学校週五日制のしわよせによるゆとりのない学校生活、早期教育・継続的な同一種目活動からくる燃えつき症候群、加入時の制限など、生徒の自発的な活動の弊害となる問題が山積するようになる。
このような運動部活動の中で、指導者は生徒がどのようなことを期待し、どのような活動をしたいのかを捉えながら、生徒と意志の疎通を十分に図り、生徒の期待と指導者の願いが一体になるよう活動を仕組むことが望ましい。そしてこれらのことが、中学生期の心身の発育発達段階を捉えた指導を実践する上で大切であり、生徒にとっても真に魅力ある運動部活動を展開することにつながると思われる。
そこで、本県では魅力ある運動部活動をめざすために、加入の状況、生徒・指導者の意識、活動内容・運営面、健康・安全の4つの観点について調査し、過去のデータも参考にしながら問題を掘り起こし、研究をすすめてきた。

 

II 研究方法

 

1 研究対象県下全中学校で学校(部活動代表者)・指導者及び生徒を対象に調査を実施した。生徒については、各中学校で2年生1クラス(運動部員のみ)を抽出し、実施した。さらに翌年、3年生全生徒に追加調査を実施した。
1)学校調査 165校
2)指導者 1313名(男性1016名 女性297名)
3)生徒 平成6年4413名(男子2406名 女子2007名)
平成7年19490名(男子9846名 女子9644名)

 

2 調査期間 平成6年10月〜12月、平成7年9月〜11月

3 調査方法質問紙法

 

III 調査結果と考察

 

1 部活動への加入について

本県の部活動への参加システムは、希望加入制と全員加入制の二つを取っている。加入方法は、全員加入制を取る学校が圧倒的に多く、S60〜平成7年の6回の調査からも年々全員加入制をとる学校が増えてきているのがわかる。これは、生徒数の減少により部員数の確保が困

 

 

 

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