
中学生期の心身の発育発達段階からみた運動部活動指導について
生徒一人一人が目標をもって主体的に取り組む活動を求めて 秋田県中学校体育連盟理事 大曲市立大曲中学校松田篤 I. はじめに
昨年参加させていただいた長崎大会において、シンポジストとして出席された国見高校の小嶺先生から「生徒一人一人が目標をもち主体的に取り組む部活動にするために、指導者としてまず第一に考えなければならないことは、学年に関係なく全ての部員に練習の場を保証してやることである。」という内容のお話があった。 帰ってからさっそく部活動担当者会議を開き、このことについて話し合った。その結果、大部分の部活動担当者から「できればそのようにしたいのだが、我が校のように部員数が多い割りに活動場所・活動時間等に厳しい制限を受けている現状では、どうしても上級生の練習が主となり、下級生の活動の大半が、体力づくりやボール拾いになっている」という率直な意見が出された。確かに本校は生徒数約千名で、その内、部活動加入者は98%(運動部66%、文化部32%)であり、運動部は16を数える。その中には、野球部・男子バスケットボール部・サッカー部などのように部員数60名を越す部が6つもある。その上、体育館は一つしかないのであるから、指導される先生方の苦労が手にとるようにわかるのである。ただ大変うれしかったのは、会の最後に、司会をしていただいた野球部担当の先生から「これからは、互いに情報を交換し、アイディアを出し合いながら、学校全体として『生徒一人一人が目標をもって主体的に取り組む部活動』というものを目指して頑張っていこうじゃないか」という案が出され、それを部活指導者全員が快く了承してくれたことであった。 それ以来、本校では月に1〜2回部活動担当者会議を開き、互いの取り組みについて情報を交換し合っているわけだが、とりあえず今年度4月からは、各部共通実践事項として、特に、次の4点に力を入れて取り組んでいる。 (1) 個人ノートやカードを作り、それを効果的に活用する (2) 部単位での練習計画を立案し提示する (3) 部活動日誌をつけ、その効果的活用を図る (4) 練習場所や練習内容を工夫する 以上の4点である。 それでは、ここまでの取り組みについて、野球部と女子バレー部を取り上げて紹介したい。 ?. 野球部の取り組みについて
? テーマに迫るために 野球部は、比較的部員の集まりやすいところである。それゆえ、部としての活発さでは他にひけをとらず、例年意欲的に運営されている。しかし、反面、部員の多さとグランドの使い方・練習の仕方から、必ずしも一人一人が生かされた練習がされているとは言いがたい。もしかするとレギュラーの陰で、入部はしたものの納得を得ずして三年間終えていった生徒がいるかもしれない。このことは、指導者として危惧する点である。このことから、学年や個々の能力に応じて、一日の練習過程の中で課題解決に向けての練習の場(場所と機会)を工夫させることによって、これらのことを解消し、さらにはマンネリ化しやすい練習に変化をもたせることができるのではないだろうかど考え、活動内容の工夫に取り組んできた。 ? 具体的活動内容 ア、練習場の工夫と学年に応じた練習内容の工夫 一定のグラウンドの広さの中で、いかに学年や個々に応じた練習場所を確保するか、練習過程との関係から、次のように工夫させ実践してみた。
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