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第3章 高齢者福祉の現状と展望

台湾人口の高齢化が、将来急速に進み、今すでに存在する問題が、益々深刻化することは、前章までの事実から判断できる。それでは、この問題を如何に処理していくか、ということが将来の社会福祉政策の焦点である。
本章では、まず高齢化社会の色々な面での問題を把握し、次に現在の対応状況を検討し、最後に将来の展望を述べたいと思う。

1.高齢化社会の問題

人口の高齢化は、現代社会の特徴の一つであるが、それが個人、家庭、および社会全体におよぼす影響は大きい。
まず、個人について言えば、
1)老人が直面する経済問題:台湾の65歳以上の高齢者で、まだ就業しているのはわずか14%と、韓国の42%やタイの53%に比べると非常に低く、逆に、アメリカの16%やデンマークの11%に近い。また就業者でも収入が少ないため、生活は苦しい。
2)高齢者の健康問題:年をとると、体の機能が悪くなり、抵抗力が弱くなることは、当たり前であるが、高い有病率、特に慢性病は、生命を脅かすばかりでなく、高齢者と家族の生活に大きく影響する。行動が消極的となり、自殺率も高まる。1986年の統計によると、70歳以上男性の自殺率は10万分の63.4で、女性のそれは10万分の44.7、全人口の男10万分の13.9、女性10万分の9.1に比べると5倍くらいにな

 

 

 

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