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て高齢者も積極的に参加している様々なグループ活動、そうした新しい地域社会活動は、今後全国の地域社会で推進されていくものと思われる。

3.これからの高齢者

現在「高齢者」と称される年齢階層は、義務教育課程など子供時代には男女で異なる教育を受け、特に男性の場合は家事、育児から閉ざされて成長した者も多く、老後生活で様々な点でダメージも受けている。また、会社人間に徹したために、地域社会との関わりでも意識に反して行動が伴わないなどの問題を抱えている。
わが国の男性高齢者の「家事」行動時間の少なさ(前述:高齢者の活動)は、欧米とは比べようもなく、同じ文化圏の中国よりも低い状況であることが最近の「東アジアの高齢者生活実態調査」(エイジング総合研究センター1988〜95年、他)で明らかにされているが(表2−3−10)、こうした高齢者行動の実状については、多少の改善は望めるものの、現在の後期高齢者等には極めて難しい課題であり、暫くはわが国の戦後経済発展に尽くした勇士として社会的に暖かく支えられるべきであろう。

表2−3−10高齢者の家事従事の程度(日中比較)

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資料:1994年「都市部における高齢者の活動と社会関係−日本と中国の比較研究−」
(エイジング総合研究センター)
注:対象者は、東京、天津とも65歳以上の男女。
しかし、これから高齢者となる階層は男女共学で育ってきた人々であり、家事、育児に対する意識も男女に大差のない人々である。また、経済的には、大都市市民の場合、その多くが年金受給者として最低限の生活保障を有しており、たとえ要介護者となっても介護保険等の支えも得られるため、生活破綻を来す者は極めて少数となろう。
そして、これからの高齢者は、情報社会の影響もあって、健康で快適な日常生活や生きがいを持つことに強い欲求を示し、その行動も広範囲かつ活発となり、社会的にも高齢者が大きな役割を果すものと予測される(図2−3−11)。

 

 

 

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