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あとがき

 

本報告書は、現在海上保安庁において沿岸航行船舶に対し提供している中波、中短波による船舶気象通報及びテレホンサービスによる気象情報の提供システムのさらなる改善、充実を図るため、本委員会においてあらたに沿岸航行援助情報システムとして検討し、取りまとめたものである。

本調査研究の実施にあたっては、現状の情報提供の問題点と利用者のニーズ等を把握するための主な資料として平成6〜7年度に実施した「中波標識局を利用した情報提供システムの調査研究」報告書を参考とした。この報告書のなかには従来の情報提供システムについて多くの利用者の方々から問題点の指摘や貴重な意見が含まれていたからである。

この報告書等をもとに、さらに最新の科学技術を応用した気象情報等の自動化やレーダによる情報提供システム、また携帯電話、インターネットの利用など最近急速に変革をとげつつある情報通信システムの導入を検討し、かつ一般船舶からプレジャーボートにいたるまでの多方面の利用者のニーズにあったシステムとするよう検討を行った。

これらについては報告書に記載の通りであるが、主なものとしては、

・観測気象項目のうち、特に波と視程の情報提供に関する調査検討。

・特定海域におけるCバンドレーダによる航行船舶の動静情報、漁船操業情報、施設設置情報等の提供。

・携帯電話、FAX、インターネット等の現状調査とこれらによる海上への情報伝達の内容、方法等の検討。

・全国各所における沿岸航行援助情報センターの設置とこれらをインターネットにより有機的に結合することによる情報収集の効率化並びにマルチメディアによる多種多様な利用者への情報サービス。

などをあげることができる。この結果、従来一方的であった情報提供システムにインタラクティブな要素が加わることになり、利用者にとり身近かなシステムになったとも考えている。

しかし、提案した沿岸航行援助情報システムは普遍的なシステムの構築を行ったものであり、また、気象観測などの面にまだ幾つかの今後解決すべき問題点も残っている。将来本システムの実現に当たっては、これらの問題点を早期に解決し、本報告書をもとにさらに具体的に検討を加えられ、多くの沿岸航行船舶に有効に利用されることを期待したい。

最後に、本調査研究の委員会の開始は咋年11月下旬であり、何分短期間での調査研究であったため、検討の浅い事項もなきにしもあらずであるが、かかる短期間に多くの資料の収集と原案の提示をされた専門員、熱心に検討をし、ご意見をいただいた委員並びに関係官の方々に厚くお礼を申し上げます。

 

平成9年3月

 

沿岸航行援助情報システムの構築に関する調査研究委員会

 

 

 

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