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3.2 残存する問題点と将来への課題

1) 波と視界の観測

波と視界のニーズは非常に高い。気象庁、運輸省港湾局、海上保安庁が設置している波浪観測センサーは、いずれも海底に設置する超音波波浪観測装置であり、その設置および維持コストが高額であるため設置箇所が少ない。

本調査研究においては、比較的安価なシステムを開発導入し、きめ細かなサービスを実施すべきであるとし、他のシステムを導入するとしてもその基準尺度として、ある程度の超音波波浪観測装置の設置は必要であると提言した。現在開発途上であるが、実用化が有望と考えられるシステムとして、HFレーダーおよびマイクロ波レーダーによる観測装置がある。

視界の自動観測システムは現状においては確立されていないため、目視による観測によっている。これについても自動観測装置の早期開発導入が望まれる。

実用化が考えられるシステムとして霧については、ミリ波レーダーがあり、第3章で紹介している。今後、これらの導入に向けて実証試験等を実施する必要がある。

他方では、気象庁の提供する数値予報データをもとに、独自の観測データを取り入れて沿岸波浪の解析を行うことも合理的な手段である。この解析には、気象予報士の資格が必要となる。

 

2) 海上メディアの通信速度

現状における海上公衆通信メディアの通信速度は4800bpsが標準であり、高速のものでも9600bps止まりである。

本調査研究において、最も有効な情報伝達手段はインターネットサービスであるとしたが、この通信速度では満足なインターネットサービスができないため、インターネットによる情報提供は陸側に主体をおいて研究した。

インターネットを含む高速データ通信の需要は今後益々増加すると見込まれるため、その通信基盤の整備もさらに推進されて行き、海上における伝送も陸上並みに可能となる日も近いように思う。

従って今後は、インターネットによる洋上の船舶に対する情報提供のあり方についての検討を行う必要がある。

 

3) 極力手のかからない情報アクセス

海運業、漁業、全般にリストラが進み、特に小型内航船および漁船の労働条件は厳しいものとなっている。単独当直が行われている船舶も多くあり、このような状況下において、はたして沿岸航行情報センターにアクセスし、情報を入手する手間が掛けられるのだろうかという疑問が残る。

このようなことから、出航前の航海計画の段階で十分な情報を入手し、航海中に必要となる情報は、簡単な操作で簡潔な情報として入手されるものでなければならないという認識のもとに研究を行った。

一度セットしておけば、情報が自動的に入手できるNAVTEXは優れたシステムとい

 

 

 

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