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第9章 理想的な沿岸航行援助情報システムのモデルの構築

 

第2章から第8章にわたって、必要とされる情報、その情報の収集手段、情報の表現方法、最適な伝送メディアについて個々に詳しく調査検討を実施してきた。

本章ではそれらを集大成するかたちで一つの理想的な沿岸航行援助情報システムのモデルを構築してみたい。沿岸海域のモデル地区として船舶交通が輻輳し、漁業及び海洋レジャーが活発で、気象条件の厳しい海域とされる伊豆半島下田沖海域を想定した。このモデルは必要とされるすべての機能を一般論として集積したものであり、下田沖沿岸航行援助情報センターを具体的に設計するものではないことをお断りしておく。また、このシステムは理想的といえども現状の技術開発レベルや通信基盤の整備、法的整備の制約を考慮し、現在あるいは数年後に実現可能である見通しのあるものとして構築したものである。

また、本調査は地域ごとに設置する沿岸航行援助情報センター(ローカルCIC)について主に検討してきたが、このローカルCICが全国展開した場合、これを統括するセンター(統括CIC)も必要になってくるため沿岸航行援助情報システムのモデルはローカルCICと統括CICで構成することとした。

 

1. 沿岸航行援助情報システムの構成

 

沿岸航行援助情報センター(ローカルCIC)は、全国の沿岸地域に点在し、各区域毎の情報サービスを担当するが、航路標識の運用状況、業務休止の予告、設置、廃止など全国的に共通した情報も取り扱う。これらの共通情報はどこか1か所で統括され、各ローカルCICに配信される方式が合理的と考えられる。したがって、機能的には統括沿岸航行援助情報センター(統括CIC)とローカルCICに分離した構成について検討することとする。

ローカルCICは、段階的に整備がなされて行くものと考えられるが、ここでは全国的なシステムが完成した時の姿を想定している。また、統括CICは機能的な位置づけであり、物理的にローカルCICと必ずしも分離される必要はない。

このように、機能が分離し、統括CIC情報、ローカルCIC情報、また現存する航行警報等が多元化すれば、利用者にとって情報の窓口が多くなり、全てを一元化して利用者の利便を図ろうとするシステムに逆行するかのように思えるが、インターネットの利用がこの問題を一挙に解決している。

統括CIC、ローカルCIC、それからNAVTEX等で発信される航行警報をインターネットホームページでサービスし、これらのホームページがリンクされるようにすれば、利用者はどのホームページにアクセスしても、関連情報は容易に検索収集することができる。つまり、各ホームページに入力するセクションは異なっても、利用者は同一次元で情報を入手できるのである。インターネットの活用は、すべての情報を一元化した情報センターを必ずしも必要とせず、各セクション毎の固有の情報を整理(収集・編集)して発信すれば事は足りるということである。

以上のような統括(中央)、ローカルの分散型の構成は、それぞれにおいて分担した情

 

 

 

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