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章末付録参考資料

表示装置としての「電子海図表示装置」の現状と将来

 

1. はじめに

「電子海図表示装置」についての認識は人によりかなり幅があるように考えられるので、本文で扱う「電子海図」を定義する。

政府機関(日本の海上保安庁水路部に相当)等が発行するIMO(International Maritime Organization)/IHO(International Hydrographic Bureau)基準による航海用電子海図(ENC:Electronic Navigation Chart)、IMO/IHO基準に準拠した英国海軍水路局のARCS(Admiralty Raster Chart Service)、私的な企業(C−MAP社等)が作成したもの、公的機関が作成した航海用電子参考図(ERC:Electronic Reference Chart)及び船舶用電子機器製造者が作成した簡易な電子海図等を総称して「電子海図」とする。表1−1に電子海図の概略分類を示した。

 

表1−1 電子海図の概略分類

 

日本の電子海図表示システムは、1970年代の中頃、漁船用に開発された船位表示装置から始まった。これは、機器製造者が作成した概念的な海岸線データと、ロランC、GPS、(Global Positioning Service)等の電子航法装置による本船位置をCRT(Cathode Ray Tube)上に重畳表示するものである。この装置は、漁船に大きな利便性を提供したため、多数のユーザーを獲得し現在に至っている。現在この種の簡易型電子海図表示装置は、各製造者からGPSプロッタ、ビデオプロッタ、カラープロッタ、コースプロッタ等と呼ばれ販売されている。これまでの出荷数は、漁船を中心に内航船、プレジャーボート等10万台を超えたと言われる。最近では、レーダー生映像やARPA(Automatic Radar Plotting Aids)映像情報の重畳機能も搭載され、いわば小型の万能表示装置に進化しつつある。

 

内航商船向けに開発されたスタンドアロン形式のARPAでは、大型のCRT(20インチ程度)と、ERC等による電子海図の重畳表示は当然のものとなりつつある。これらは今後、内航船舶向けのIBS(Integrated Bridge System)に組み込まれてゆくものと考えられる。

 

外航商船向けのECDIS(Electronic Chart Disp1ay and Information System;電子海図表示情報システム)はENCまたは同等品(C−MAP等)を使用した装置が内外各社から発売されている。これらはスタンドアロンで使用するよりも、IBSの一構成品として設計

 

 

 

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