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1.2 視程の観測について

資料[12]に、観測機材について概略次の記述がある。

視程の観測は、これまで適当な観測機材が開発されてなかったので、人が目視により行っていた。近年、光学的に視程を地上で観測する機器が実用化され、各方面で使用されている。WM0はこのような視程計の相互比較(1988−1989)を実施した結果…散乱計は低視程時の測定にやや問題があるものの、広い有効範囲を持っており、保守性も良く光学面の汚れに伴う感度変化も少ない…と結論している。世界各国のメーカーがこのコンテストに参加したが、その視程測定方式は次の(1)〜(3)であった。

(1) 透過率方式

(2) 後方散乱方式

(3) 前方散乱方式

前方散乱方式の視程計は気象庁が、地上気象観測の視程計として採用しているもので、前方散乱強度からMOR(Meteorological Optical Range)を求め、視程値としている。滑走路視距離(RVR)観測に気象庁が採用している機材は、透過率計と前方散乱計である。

 

大気中に含まれる水蒸気は、何らかの核(微少な埃、海面から飛散した塩分など)があると、核の周囲に凝縮し微少な水滴になる。水滴が寄り集まったのが霧(雲)である。海上で視程を阻害するのは海霧である。海霧は陸霧とやや性質が異なると言われている。霧粒の直径は20〜30μmと、陸の霧よりも大きいものが多いとする報告がある。気象研究所は、このような海霧を、周波数の高い地上レーダーを使用したリモートセンシングで検出できることを報告している。

 

この他、衛星リモートセンシングに属するものとして、気象衛星ひまわり[GMS:Geostationary Meteorological Satellite]と米国のNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration)の雲の観測がある。

 

海上保安庁が構築するシステムの視程観測については次のような対策を考えた。

(1) 気象庁が使用している視程計の見直し

視程計の具体的な評価試験を行い、最適な測定方式について検討する。

(2) 地上レーダーによる視程観測の実現性検討

高い周波数を用いた地上レーダーによる霧水量の観測と、視程との関連について調査検討して実現性を検討する。実現可能であれば、二次元の霧の現況を把握できると言う長所がある。

(3) 気象衛星データよりの視程の抽出

気象庁の雲解析情報図からの視程情報の抽出を試みる。

 

気象庁気象衛星センターは、ひまわりの可視赤外走査放射計(VISSR:Visible and Infrared Spin Scan Radiometer)のデータを気象衛星通信所(CDAS:Command and Data Acquisition Station)を介して受信し、気象庁気象資料総合処理システム

 

 

 

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