日本財団 図書館


 

8.個別事例での計算

この章では第7章で選定した個別事例に基づき、負荷条件を求め、空気室大きさ・発電装置台数を決定し、空気室取付のため作用する力等を計算し、安全性を検討する。
なお、第6章の簡易設置案において空気室大きさ・発電装置台数の決定、作用する力等の計算は「発電装置を官制器室等の上に設置する場合」と同一であるためここでは特にふれない。
(1)千葉港市原防波堤灯台の場合
?負荷条件
市原灯台の光源は表−7.5に示した通りD−1電球(12V25W)であり、灯質は群閃光(毎6秒に2閃光)である。従って負荷条件は

049-1.gif

である。蓄電池への充電効率を0.9とすると、3.0cmの発電出力が必要となる。
?予想発電量について
市原灯台の波データとして東京灯標のデータを用いる。東京灯標の波高別周期別出現頻度表及び波向出現率を表−8.6〜8.11に示す。
防波堤の垂線の方向はNNWであるから、NNWを中心に±67.5°すなわちW〜NEの間の波向出現率Px2は

049-2.gif

となる。
予想発電量は、25cm以上の出現率が一番低くなる秋季のデータを用い、昨年度の調査研究の手法に基づき計算を行う。空気室幅を1.5m、奥行1.28m、発電装置台数3台とすると、模型の縮尺率は0.47/1.5=1/3.2であり、ノズル開口比は0.0032×3/(1.5×1.28)=1/200となる。最多出現周期が2〜3秒であるから、波の中心周期を2.5秒とし、模型での適用周期をフルード則により2.5/√3.2=1.40とする。空気室効率、発電出力等は表−8.1〜8.2の通りとなる。
予想発電出力は4.8Wとなり、必要発電出力の3.0cmに対して1.6倍の安全率を持つ。従って空気室大きさは幅1.5m、奥行1.28m、装置台数3台とする。
なお、昨年度の調査研究で使用した資料及び今年度使用する資料を図−8.1〜8.4に示す。これらは、運輸省港湾技術研究所にて波力発電ケーソンに関する研究が行われ、その中で模型を用いた空気室の実験が行われた時の空気室模型図、及び波高伝達率のグラフである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION