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6.安全装置の設計

防波堤に小型波力発電システムを設置する場合、台風等の来襲を想定し、以下の点を考慮しなければならない。
 ?波浪が直接タービン・発電機に作用する可能性がある。
 ?空気室内の空気流量が増大し、発電機が最大回転数を超える可能性がある。
 ?天端高を越える波浪が作用したとき、空気室に満ちた海水が空気流路を通り、タービン・発電磯に作用する可能性がある。
考慮すべき点の?に対して、発電装置を波浪が作用しない官制器室や灯塔踊り場の上に設置する案と、発電装置を保護カバーで覆う簡易設置案の2つがある。
最初の案の場合、上記?について、空気流量が増加すると空気圧も同時に増加するので、発電機の最高回転数に対応する空気圧以上になったならば必要な空気流量を弁を通じて放出する安全弁を設けていく。?について、空気流路の一部分を断面積を大きくして海水の上昇を遅らせるための海水だめを設ける。
第二の簡易設置案の場合、?については第一案と同様、安全弁を設けていく。?については、空気室と発電装置を結ぶパイプ中に波返しを設けていく。なお、保護カバーには管理面及びメンテナンス面を考慮し、実際配置する場合は柵ないし錠前代扉を付けていくことを考える。
以下、二つの案について各々検討する。

 

(1)発電装置を官制器室等の上に設置する場合
?安全弁の大きさ
安全弁は図−6.9に示すラプチャーバルブを使用する。口径はφ80mm、φ100mm、φ150mm、φ200mm、φ250mm、φ300mm、φ350mmの7種類である。
断面1において断面積A1、流速Vl、圧力P1である流れが、断面積が急に狭くなり、断面2で断面積A2、流速V2、圧力P2(=大気圧)になったとする。流体の密度をρ(=0.125kg/m3)、縮流係数をCc(=0.61)とすると、ベルヌイの式及び連続の式より

015-1.gif

となる。
発電装置内の空気流量が増加すると発電機の回転数が増加し、空気圧力も増加する。発電機の使用最高回転数は8,000rpmであり、それに対応する圧力は980kgf/m2である。よって上式において、A1を空気室断面積とし、最大の海水上昇速度V1においてP1≦980kg/m2となる安全弁の断面積A2(口径rl)を求めればよい。空気室が複数台ある時は1台について計算する。
海水上昇速度Vmaxは、波形が正弦波であるならば波高をH、角速度をωとして

015-2.gif

となるが2次以上の高調波を考慮しω=3×2π/T1/3とし、H=1.8×H1/3とすると

015-3.gif

 

 

 

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