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5.空気室の設計

(1)空気室形状
空気室形状は、防波堤の法線方向からの波に対する強度を考え、半円形ないし弦型とする。
(2)空気室材質
固定式波力の空気室は、通常の海洋構造物のパイプと異なり構造物の内側まで常時海水にさらされている。そのためサビや腐食が発生し、空気室から空気が漏れると空気室効率が甚だしく低下するという特徴がある。従って、長期間内部をメンテナンスせず使用できる材質を選択する必要がある。
ここでは
?ステンレスの中で一番防食性の高いSUS310Sを使用する。
?ステンレスの中で二番目に防食性の高いSUS316Lを使用し、コーティングをする場合は淡水部下端から天井までフッ素樹脂コーティングをする
のどちらかを選択することにする。また、厚さは9mmとする。

 

(3)考え方のフロー
?空気室大きさ
(a)空気室半径:r
昨年度の調査研究において、日本周辺海域を9ブロックに分け、各フロック内の波の共通の特徴を持ちながら利用範囲波エネルギーが最低となる地点を当ブロックの代表点とした。また、太平洋側のブロックの代表点の中から利用範囲波エネルギーが最低となる地点である仙台新港を例に取り、発電装置台数を2台、空気室大きさを1.2m×1.0mとし、利用範囲波エネルギーが最低となる季節の冬季において予想発電量を計算し、4.7Wという結果を得た。
ここで空気室内部の動きを見ると、防波堤に押し寄せる波が波取入れ口より空気室内部に入射し、空気室内の海面が上下し、上部に設けたノズル(発電装置)により空気エネルギーとなるので、昨年度の調査研究で計算した空気室断面積の大きさと等しくなるよう半円の半径を定めれば、空気エネルギーもほぼ同等になるものと考えられる。
半円形の空気室の半径をr0とし、長方形の空気室の断面積をSとすれば

006-1.gif

空気室断面が1..2m×1.0mの長方形の場合、r0=0.87(m)となる。この他、付着物による影響を考慮し、実物の空気室半径を

006-2.gif

とする。
(b)空気室高さ:h0
波が空気室に作用するとき、空気室内部の水位は上昇する。昨年度の調査研究において調査した結果を表−5.1に示す。表に示すとおり、波高が大きくなればなるほど波高伝達率は低くなる。

 

 

 

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