5.研究の成果と今後の課題
「ローカル鉄道向け単線閉そく装置の開発」において、調査・研究すべき主な項目により試作装置を設計・製作し、各種の試験・検査を行い、貴重なデータを得ることができた。併せて、本開発の単線閉そく装置を実用するに当たっての運転上の課題の検討・整理を行った。この検討の一部を付属の資料3に添付する。 これらの調査・研究において得られた研究の成果と今後の課題を以下に述べる。 5.1 研究の成果
本開発事業において得られた研究の成果として、つぎの項目が挙げられる。 5.1.1 IDプレートによる極小ゾーン双方向通信 (1) 地上と車両間の極小ゾーン双方向通信を行うために、構内無線局移動体識別装置の2.45GHzのマイクロ波方式によるIDプレートシステムを採用した。車上情報を地上に伝達するために、IDプレートにインタフェイス付きを新たに設計開発した。 (2) IDプレートの通信エリアは、地上アンテナの取付方法を、車両の側面または軌条の外側枕木上でIDプレートとの間隔を500mmとって、測定したところIDプレート、IDプレート(I/F付)も共に、列車進行方向に約1米の通信可能領域が確保できた。現車のオーバーラン試験では、地上アンテナ上を15km/hで通過したが3回の読み書きができて車上に「力行不可」情報の伝達ができた。これにより地上と列車間の双方向通信の基本機能と性能を満足することを確認した。 5.1.2 単線閉そく装置 (1) 5.1.1項の双方向通信機能によるIDプレートを車両の前部と後部に取付け、一方、各駅の番線毎に地上アンテナを設け、これらの列車に固有な識別情報を列車検知情報とし、列車を追跡する機能を開発した。またこれらの列車追跡情報をベースとして集中連動方式の単線閉そく装置の基本機能を確認する装置を開発した。 閉そく論理を構成するソフトウェアは、電子連動等で採用している連動マトリックス方式で、3駅2中間の線路配線によるシミュレーション及び2駅1中間の配線によるデモンストレーション試験によって閉そくの基本機能を確認した。 (2) 5.1.1項の双方向通信機能による乗務員とのマンマシンインターフェイス機器としてタッチパネル式液晶モニタによる「車上表示器」を開発した。 本事業で開発した試作装置は、電子閉そく装置と同様に乗務員が取り扱うことを前提とするので、「出発要求」及び「出発取消」の制御入力と、「力行不可」、「出発受信」、「出発許可」、「オーバーラン」などの表示出力を設け、制御と表示の基本機能を確認した。
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