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1.概要

 

1.1 開発の目的

本事業は、ATSの設備化がコスト的に困難なローカル鉄道にも導入できる経済的な単線閉そくシステムを開発して保安度向上に資することを目的に以下の開発を行う。
(1) 極小ゾーン通信による地上装置と車載装置間の双方向通信を実現し、軌道回路と地上信号機によらない新しい単線閉そく装置を開発する。
(2) また、この単線閉そく装置は、出発許可がなされるまでは主幹制御器のノッチ回路を遮断して、誤出発を防止する機能を有するものとし、誤出発に起因する事故を防止する。

 

1.2 開発の内容

1.2.1 試作装置の概要
具体的な研究開発項目は、次の2種4項目からなる。
(1) 単線閉そく装置の閉そく論理の開発
経済性に優れるといわれる既存電子閉そく装置も、各駅に配置されたフェイルセイフな制御装置と軌道回路、地上信号機、車上装置を必要としている。これに対し、本研究では中央のフェイルセイフな処理装置と車上のフェイルセイフな処理装置を双方向伝送装置で接続し、中央処理装置が線区内の列車追跡と閉そく確保および車上への出発許可を行うことで、軌道回路、地上信号機およびフェイルセイフな駅装置によらない経済的な単線閉そく装置を実現するものである。この単線閉そく装置の論理検証に必要な開発項目を示す。
なお、今回の開発事業の試作では、制御論理の確認を主とし、地上・車上の処理装置としては汎用の処理装置を用いるものとする。
ア. IDプレートによる双方向通信と列車追跡
車両に固有の識別番号を付与したIDプレートを取り付け、一方、地上には番線毎に地上アンテナを設備して、IDプレートとアンテナが結合した際に双方向の情報伝送が可能な構成とする。この機能を用い、地上の中央装置は列車の移動を追跡し、閉そく判断の入力とするほか、車上に出発許可等の情報を伝達する。
イ. 閉そく論理の実現
中央処理装置はア.の機能をもとに対象線区の全列車在線位置を把握する。さらに、車上からの出発要求に応じ、各列車の位置情報および現在の閉そく状態をもとに閉そく設定の可否を判断し、可の場合には該当列車に出発許可を与える。この閉そく判断論理は中央集中型という新規なものとなるため、論理の組込と検証性に優れた論理記述方式を確立し、制御の確実性を期する。

 

 

 

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