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第5章 町づくり

第1節 住民の意識調査

油津の町並みと堀川運河の現地調査と平行して、住民の意識調査を実施した。調査内容は生活環境と地域住民のコミュニティについての大まかな考え方もしくは感じ方について問うた。
アンケート用紙は4ページで17設問からなり、平成8年7月11日の油津区長会の席上で材木町、西町、上町、下西、下東の5地区に617通を配付した。回収期限は7月31日頃を目処に各区長にお願いした。その際、回答者のプライバシーを考慮して、各アンケート用紙は封筒に入れて配付し、回収する事にした。アンケートの結果は、全体の回収率69.5%と良好で、概ね油津地区住民の意識を反映しているものと判断される。ただし、アンケート用紙は各世帯に1部の配付であったため、世帯主が回答したケースが多いと思われる。
なお、平成8年11月29日現在の住民基本台帳による油津地区全体の高齢化率は26.95%であり、日南市全体の22.36%を大きく上回っている。おそらくは、今回の調査対象地区のみのデータはこの数値をさらに上回る高齢化率を示すに違いない。
アンケートの問1と問2では回答者とその家族について問うた。まず、男女の比率は45.4:55.6で女性がやや多い。その年齢は60歳以上の方が63.9%と約2/3を占める。職業も、無職と主婦が55%を占める。漁業はわずか7.3%と予想外に少ない。家族構成についても、1人と夫婦のみの家族が54.5%と過半数を占める。
問3では現在地への定住時期を問うた。その結果、明治から昭和25年までの油津が最も栄えた時期に住みはじめた家が58.8%と多くを占めるが、昭和26年以降に油津へ移り佳んだ家も33.6%と意外に多い。
問4では建物の建築時期について問うた。その結果、建築基準法制定の昭和25年以前に建てられた建物は160棟である。この数字から調査対象地区全体の昭和25年以前の建物を推定すると約230棟となり、今回の調査結果とほぼ一致する。
問5では敷地と建物の所有権を問うた。大半の土地と建物は本人の所有であったが、高齢化の現状から、上記の約230棟が現在のまま維持される保障はない。
問6と問7では油津の歴史と現況についての認識を問うたが、マグロ景気のことは知っているが、その当時の建物が200棟以上残っていることを知らない人が35.5%と約1/3を占めている。
問8では住環境についての満足度について問うた。(1)の敷地の広さではやや悪いが最も多く、よい・ややよいとする人とやや悪い・悪いとする人がほぼ半々と感じている。(2)住宅の広さ、(3)トイレについて、(4)浴室について、(5)台所について、(6)家の維持・管理についてはよい・ややよいが多いが、100人前後は不良を訴えている。(7)車の進入・駐車では悪いが最も多く、道路や駐車スペースの必要性が感じられる。(8)日照・通風については、よい・ややよいと答える人が圧倒的に多い。(9)相隣関係と(10)近所づきあいについてもよい・ややよいと答える人が圧倒的に多い。(11)総合的な住みごこちはよい・ややよいと答える人が87.3%と圧倒的多い。つまり、多くの人が油津は生活しやすいところだと感じていることが判明した。
問9では地区の生活環境を問うた。問8と同じような設問であるが、行政区単位の生活環境についての意識を回答してもらった。(1)自然と海の美しさについてはほとんどの人がよい・ややよいと答えている。(2)町並みの美しさについても予想よりはるかに多い8割の人がよい・ややよいと答えている。(3))災害・事故からの安心についてはよい・ややよいとやや悪い・悪いが半々となった。(4)活気・活力についてはややと思う人が約6割である。(5)騒音・喧騒の少なさと(6)下水道・排水施設ではよい・ややよいと答える人は半分をやや超えるのみである。(7)生活道路と(8)防犯灯・街灯についてはよい・ややよいが3分の2を占める。(9)遊び場・小公園については約半分、(10)集会施設では半分以上、(11)公民館活動でも約半分の人がやや悪い・悪いと答えている。一方、(12)隣近所のつきあい、(13)隣近所のたすけあい、(14)地域の人情味については、それぞれ9割近い人がよい・ややよいと答えている。その結果、(15)地域のまとまりについても約8割の人がよい・ややよいとしている。
問10(1)改善の必要のあるものについては、多いもの順から「集会施設」「下水道・排水施設」「活気・活力」「遊び場・小公園」「災害・事故からの安心」である。(2)現在よいと思うものについては多いもの順に「自然と海の美しさ」「隣近所のつきあい」「地域の人情味」「隣近所のたすけあい」「町並みの美しさ」である。
問11地域について感じることを問うた。(1)地域のリーダーの貢献度については8割の人がよくやっていると答えている。(2)地域の団結心については6割の人が強いほうと思っている。(3)地域の悪口について自分の悪口のように感じるのは約3分の2である。(4)では9割近い人が

 

 

 

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