屋根形態では、切妻・寄棟・入母屋の3種類がある。切妻とは、大棟(屋根の頂部にある水平の棟)の両側にのみ流れをもつ屋根形式のことである。寄棟とは、大棟から四方向に葺きおろされた屋根形式のことである。入母屋とは、上部を切妻とし、下部の屋根を四方に葺きおろした屋根形式のことである。つまり、寄棟の上に切妻がのった形式である(図165)。しかし、綴葺きのように寄棟の上の切妻に軒の線がなく、一体となっている。入り方では、平入・妻入の2種類があるが、平入とは、大棟と平行な両端の側面に入口を設けた建物形式である。逆に妻入とは、大棟に直角な両端の側面に入口を設けた建物形式で、建物の側面(このことを妻という)から入ることである。つまり、棟と直角に入ることを平入、棟と平行に入ることを妻入という。
次にこのことを利用して6種類に分類し、それをさらに年代別、丁目ごとにまとめ表に示した(表6−9)。この表の分析結果より、切妻−平入・妻入、入母屋−妻入が多いものの、全体的にはバラエティーに富んでおり、時代背景から、ある時代にこういう建物形式で作られていたという明確なものはなく、同時代でもあらゆる形式の民家が建てられていたようである。
(3)主屋の間口について
民家の道路に面した正面の幅のことを間口と呼ぶ。ここでは、間口の長さの単位を間で表現している。1間(=6尺5寸=1969.5mm)で、両側の柱真々寸法を割り、間で示した(表10−13)。その結果、3間半程が最も多いことが分かった。時代ごとにみると、明治初期から基準となっている長さが3間半であるということが考えられる。また町ごとにみてみると、材木町、西町では2間〜5間以上とまちまちであるが、逆に油津3・4丁目では3〜4間というのがほとんどであり、こういった点からも、油津3・4丁目は整然とした町並みであるといえよう。油津1・2丁目は材木町、西町と同じく3間〜5間以上とまちまちであるが、5間以上の邸や敷地内の家屋が他の丁目に比べて多いということからも、立派で大きな建物が多いということが伺えよう。やはり間口の長さからも油津1・2丁目が町の中心であることが分かる。
表2 初木町・西町の座敷の位置
表3 春日町・油津1・2丁目の座敷の位置
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