はじめに 寅さん映画の大好きな私の息子が借りてきたビデオを見ていたら油津が出てきた。寅さんがあのスタイルで石橋を渡り、床屋へ入る。色っぽい女主人は風吹ジュンである。 それにしても、寅さんが旅をする町は、どこも歴史的景観が優れているし、住んでいる人々の生活が感じられる町ばかりで、とてもうれしくなってくる。生きている町であり、油津もまたそんな町だ。 13年前に伝統的建造物群保存地区になっている妖肥の武家屋敷を中心として、歴史的景観都市連絡協議会が開かれたが、日南市の担当者は、将来を考えてのことか、出席者をもうひとつの日南市の顔である油津に案内し、熱のこもった解説をされたことを記憶している。この油津の持つ歴史性は魅力的であり、少々いかめしい感じの武家屋敷とは、対照的だ。 今回、財団法人日本ナショナルトラストの調査を通じ、地元の皆さんの油津らしい個性あふれる町づくりに寄せる想いや活動を実感し、ますます油津の町が好きになってしまった。 財団法人日本ナショナルトラストでは、昭和46年度より全国の貴重な自然や文化財を観光資源として捉えた調査を行い、観光資源の保全・活用の提言を行っている。これまでに、その数は全国で約170件にのぼっており、「油津の町並みと堀川運河」調査は、平成8年度の観光資源保護調査のひとつとして実施した。 調査にあたっては、油津の住民の皆さん、日南市役所、関係者の皆さんに大変お世話になりました。記してお礼を申し上げます。 平成9年3月 社団法人日本観光協会 前ページ 目次へ 次ページ
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