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[連載]兜跋毘沙門天の居ます風景……………………………北進一

◎ヒンドゥークシュ山頂の毘沙門天像◎

西暦四九〇年に北インド・ウッディヤーナ(島場=現スワート地方)で生まれた高僧テレーンドラヤジャス(那連提黎耶舎)は、インドに遊行したあと五五〇年頃に帰国したが、故郷の寺が野火に焼かれたので、再び六人でグループを組み、雪山(ヒンドゥークシュ山脈)の北へ弘法の旅へ出た。彼は、雪山山頂に差し掛かった時、一体の毘沙門天石像を見た。この石像は昔の聖王が造ったもので、通るのに険しい人道と容易(たやす)い鬼道に分かれる二路の入ロに立てられ、手で人道を指し示していた。同伴の一人が誤って鬼道に人ってしまい鬼害に遭ったが、自らの観音の神咒のおかげで厄難を逃れ、こんどは人道を進んだが山賊に遭遇した。しかし、もっぱら観音の神咒を念じると賊の目が潰(つぶ)れ事無きを得た。ヤシャス一行は路を東へ東へと循って柔然国に到着した。
この逸話は『続高僧伝』巻二・那連提黎耶舎伝に記載されている。ナレーンドラヤジャスはその後中国に入り『大集月蔵経』などの翻訳に従事し中国の末法思相心の形成に大きく貢献するが、彼が雪山で見た毘沙門天石像は独尊としての毘沙門天信仰の初期的様子を端的に表した好例であろう。この記述ではインドクベーラを出自にもつ昆沙門天の北方守護神的役割が顕著であるばかりか、インド世界と中央アジアの遊

 

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?ヒンドゥークシュ山脈風景

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?地図・ヒンドゥークシュ山脈周辺地域

 

 

 

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