異なケースではなくして、一度に来たのではないにしても、いろんな人たちが行き来してやっていたのかもしれませんね。
谷川……沖縄でキビナゴに似た小さい魚をスルルって呼ぶのです。台湾の組頭嶼、今は蘭嶼といいます。そこを調査した鹿野忠雄さんによると、組頭嶼でやはりスルルって言うんです。まったく同じ、言葉を使っているんです。
それから与那国島に最初に行った時に、『与那国鳥誌』を書いた池間栄三さんというお医者さんがいまして、その人とお会いして喋った時に、自分は戦時中に軍医としてマニラに行ったことがある、従卒を連れてマニラのあるバーに行ったら、名前を何かって聞くから自分は池間だって言った。従卒にも聞いたので従卒がダガだと答えたら、女たちがクスクス笑い出した。それはダガというのは、マニラでは麝香鼠だったんだそうです。与那国島でも麝香鼠をダガって言うんですね。それで
一九七〇年頃の松之山町の田植え
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