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自然と文化(1996・53号)

 事業名 観光資源の調査及び保護思想の普及高揚
 団体名 日本観光振興協会 注目度注目度5


 

いとは思いませんけれども。
実は今年の五月もマルク諸島を歩いてきたんです。前から疑問に思っているのは、日本神道は影響をマルク諸島から受けているのではないだろうかという気がしていました。というのは、スラウェシあたりのブギス人の家というのは、みんな千木があって、村長さんの家なんかすごく格式がある。日本の古いお宮さんそっくりなんです。お伊勢さんの宮司をやっている知り合いに写真を送りましたら、岡山の吉備津神社の古い建造物に似ていると言うんです。
それと、あのへんは米倉にしめ縄を飾っているんです。しめ縄といっても、紙はぶら下げないで割った竹を間隔をあけて下げている。そういうことを考えると、日本の神道は日本固有のアニミズムなどとを言われているようですが、もしかすると共通するバックグラウンドが、ああいう島々に求められるのではないかという気がします。
谷川……それは私も痛感しています。渡部さんのブルの話で踏み耕とつながってくるわけですが、それと同時に稲魂信仰が伝わってきているのではないかと思うんです。例えば日本では宇迦卸魂と言ったり、豊受天神と言ったりして、ウカ、ウゲ、あるいはケというのが日本固有の信仰で稲魂をいうわけですが、そういうものの源流がむしろ今の東南アジアなり、中国にもあったのではないかという気がします。そうすると稲作の伝来は単に稲の品種が伝わっただけではなくて、そうした儀礼や農業技術も一緒にきたのではないかという感じがするんですね。
渡部……中国の話を少ししていいですか。私の先輩中尾佐助さんと『稲作文化』という題で、中央公論から中公新書として出した本があるんです。上山春平さんと私が編集しました、あの本はもっと読んでほしかったのですが、すぐに絶版になってしまいました。その中で、中尾さんが言ったことで今思い出すことがあります。彼はそれより前に岩波新書から出した『栽培植物と農耕の起源』という有名な本の中で、稲作文化は世界に存在しないということを書いていたのです。インドを含めてアジア、東アジア、東南アジア、共通した技術も食慣行もなく、インドの稲作は西アジアの麦の技術を応用しただけだと言う。
それから儀礼においてもインドには特に稲作に関するものは存在しないし、そういうものをひっくるめて稲作文化は全アジアに共通しては存在しないのではないかということを書くんです。ところが『稲作文化』の座談会の中で、中尾さんは稲作文化は存在すると言い直すんです。ただし、インドを除くというんです、インドを除くならば、稲作文化は確かにアジアに共通して存在する。東アジアと東南アジアに共通する稲作の儀礼や技術なりが存在すると彼は言うんです。
私はその時になるほどと思って聞いていたのです。確かにインドの稲は中国に次ぐ大面積で栽培されているから、インドは稲作圏ですが、稲作文化圏には入らないというのは画白い。稲作圏であって、稲作文化圏に入らないインドを考えると、何となく稲作文化というものの性格がよくわかってくるような気がしたんです。同じように考えてみて、中国の全部の地域が稲作文化圏と言えるのかどうかという気持ちをその時に持ちました。南中国は確かに稲作文化圏に入ると思います。しかし、揚子江以北が稲作文化圏と言えるのかどうかということで、少し疑問に思ったんですが、今またそういうことを少し考えるようになりました。少なくとも黄河の沿岸は稲作文化圏には入らない。これは異論ないとして、同じようにその影響を受けているはずの揚子江下流・中流の稲作は確かに大稲作圏でありますが、稲作文化圏に入るかどうか疑問に思うようになっています。というのは、あのへんの農村は、高床はありませんし、南シナ、あるいは東南アジアに広がる農村の景観と違います。インドはもちろん違います。稲作文化というと日本の学者は長江流域あるいは以北の中国の影響を盛んに言いますが、それはおそらく稲の受容または伝搬経路ということについてはそうかもしれません。儀礼であるとかそういうものを含めて言いますと、日本の稲作は南中国を含めての南のほうから、いろんな影響を受けているのではないかなということを私は今考えるんです。
谷川……稲作圏と文化圏を分ける時の指標一または稲作文化の特徴というのはどういうことでしょうか。
渡部……一つは、まず目に見えるころでは、家屋の構造である高床の存在がある。これは草鈍な話ですが、稲作文化圏を学える場合の重要なメルクマールになると思います。それ

 

 

 

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