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鳥を追う追い小屋と棚田[雲南省瀾沿周辺]
ろん言えないが、少なくとも山腹に到って、眼下の山裾と到達すべき頂上を展望していることになる」。
『稲のアジア史』は私のちょうど京大定年の記念出版になった非常に思い出のある本なんです。これはいろんなところに引用されるのですか、小学館に言わせると売れない。高いんですから、みんなコピーしちゃうんです。
『稲の日本史』が出て三〇年たって『稲のアジア史』が出ましたし、今ですと『稲の世界史』の段階になりましたね。というのは、今アフリカの稲研究が大変進歩しています。アフリカの稲は、非常にマイナーに思われていますが、農耕文明のヒストリーとして見ると、非常におもしろそうです。そういう意味で、日本史が出て、アジア史が出て、今度は世界史が出るとしたら、『稲の農耕文明史』というタイトルになりそうです。これは民俗字や文化人類字の方々に頑張っていただかなくてはなりません。
谷川……『稲のアジア史』の中で、田中耕司さんが、日本の稲作はアジア全体の中から見るとごく少数派に過ぎない。それはなぜかというと、アジア各地は水田ではなくて焼き畑や常畑で稲を栽培するし、あるいは灌漑を持たない天水田地域だったり、一年中湿ったままの通年湿地での稲作地帯などであり、日本の稲作環境とは大きく異なった環境の下で稲を栽培する地域が広く分布している。また、栽培法を見ても私たちが日本で行うものとはまったく違った技術が各地の位地条作に応じ

 

 

 

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