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とられてきた。私は彼らの視点は一面的に仮面を用いるか否か、追儺文化にとっては外在的な特徴に関することにとらわれていたのではないかと思う。彼らは仮面をもって追儺であるかどうかの境界線を定める基準としていた。しかも彼らの仮面に対する考え方は狭いのもので、一地域、一つの材料で作られたものを代表例と考え、他の地域のものや、他の材料で造られた仮面を否定してきたのである。研究学者によってたくさん調査されてきた追儺面は豊富多彩であり、しかも芸術様式が多様であるばかりでなく、使用した材料も様々である。研究したがって上述したような観点は我々の問題検討の観点を誤まらせ、長くペイ族文化の中に保存されてきた追儺文化伝承に対しても充分に重視することはなかったし、様々に研究してみることもなかった。本文は、この文化伝承に対して初めて検討を試みてみたものであり、いくつかの問題点については今後研究を深めていきたい。…<雲南省大理州博物館館長>
【注・参考文献】
日本の追催と関連行事…高橋美都8
注? 長谷寺霊験記『大日本仏教全書』寺誌叢書第二犬唐国乾三年丙申歳六月十八日、(中略)宝物ヲ当寺二送ラル、其宝物ハ仏具皆具、錫杖一枝直柄、如意一枝、鉄鉢工具、金剛鈴一懸、玉幡二流、牛王一生神、法繹一長三尺、虎皮二枚、孔雀尾十葉、此他十種の宝物(山岸常人『中世寺院社会と仏堂』補章 第三節 海過会の変容より 塙書房 平成二年)
「フォークロア一特集春来る鬼』 本阿弥書店 平成六年五月
『民俗芸能事典』三隅治雌・西角井正大
『仏教行事とその思想』松野純孝編 大蔵出版 昭和五一年
『日中比較差能史』諏訪春雄 吉川弘文館 平成六年
『年中行事絵巻』コンパクト版『日本の絵巻八』日本アートセンター 平成六年
悪さをする訪れ神と芸能…星野紘16
注?『日本古典文学大系? 古事記祝詞』岩波書店一九八七年 八一頁
注?『折口信夫全集』第十八巻『日本藝能史六講」中央公論社
注?『佐賀県文化財鋼杳報告書第12集』所載 佐賀県教育委員会 一九六五年発行
注?『年中行事辞典』東京堂出版一九七〇年 五六頁
注?桜杵払人「新野の雪祭について」飯田市美術博物館紀要第五号
泣?『折日信夫全集』第十七巻『山の菌力察』中央公論社
注?名著出版一九八三年
注?『神楽 歴史民俗字論集1』「天石窟の前における鎮魂の祭儀」名著出版 一九九〇年
注? 注?と同書六八貢
注? 注?と同書四〇貢
注? 注?と同書七六頁注?
注?『折口信夫全集』第三巻「能楽における[わき]意義」中央公論社
注? 注?と同書二四九貢
注?『日本思想大系61近世藝道論』「古今役者論語魁」四八○頁

 

【図書紹介】
◎歌垣と反閇の民族誌…星野紘
一九八一年から二十数回中国を訪れ、八少数民族の祭祀儀礼を調査した報告論文集。男女が愛を歌で掛け合う歌垣の習俗は、日本の古文献にも残っている。反閇は中世からの陰陽師が執り行う呪法的な足の踏み方で、中国では宗教職能者が今も行っている。日本の花祭りの芸能に見られるという。
中国少数民族の祭祀儀礼に伴う動作は、芸能と微妙な関係を持っていることを教えてくれる。伝統芸能を見直す新しい視点を提案する。
◎椎葉神楽…写真・渡辺良正文・渡辺伸夫
十五年前から本格的に椎葉を取材、その成果をまとめた写真集。宮崎県の高千穂と米良の中問に位置し、かつては狩猟民俗が色濃く残っていた所であった。十一月下旬から十二月下旬にかけて、二十六ヵ所の集落で行われる椎葉神楽は、夜を徹して踊られる。二十数年前に、海外ドキュメントから国内の民俗芸能写真家に転進した。祭りの熱気と神さまがそうさせたのだと納得させられる。

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歌垣と反閇の民族誌
星野紘著
定価=7800円 創樹社 A5判 344べージ うちカラー40ぺージ

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椎葉神楽 アジア民族写真叢書?
写真・渡辺良正 文・渡辺伸夫
定価=3811円 平河出版社 B5判 184ぺージ うちカラー120べージ

 

 

 

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