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日本の追儺…後藤淑

 

中国から入ってきた儺の儀礼

鬼についての関心は日本では歴史が古く、その関心、日本人全体に及んでいる。鬼には幸せをもたらす鬼と、悪をもたらす鬼という全く相反した考えが日本では古くからあったようである。同じものに相反した両面性があるということであろうか。スサノオノ命とも通ずる考えであろうか。

鬼という字は中国から伝わったものだが、具体的な相貎は明らかでない。隠という字を当てているのも鬼が目に見えないものという考えがあったからであろう。そこへ造形をともなった仏教か入って来た。仏教の伝来によって鬼もその相貎を次第に形としてあらわすようになったのかと思う。

こうした鬼に対する考えの中へ、中国の追の行事が入って来た。追儺は年の暮に疫霊を追うという行事である。儺とは疫霊のことで鬼といっていい。鬼が日本人の生活に大きな影響を与えてきただけに、中国の追儺が日本へ入ることによってどのように変容したかは日本人の考え方や日本文化を知る上に興味あることのように思える。

中国の追儺は大変古い行事で、日本に入る以前ののはるかに古い時代に遡っており、その間には変化もあったようである。中国の迫儺が日本に伝未したのは唐・宋の頃であったかと思う。その頭の中国の追儺は大体次のようなものであった。平凡社刊『大百科事典』を

 

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中国の儺の儀式を著した『政事要略』の図。上の童子は方相氏に従う辰子。

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右が鬼を追う四つ目の方相氏。左が鬼

 

 

 

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