
まれる。 1. 近代化の成果
近代化は、我が国船員社会に大きな変革をもたらした。乗組み基準、設備基準及び陸上支援体制をセットとした近代化船の制度化に併せ、近代化要員の制度化及び教育制度の改革も実施された。 昭和58年から平成5年にかけて、4種の近代化船(A船、B船、C船及びP船)が順次実用化され、P船では世界最少乗組み(11名体制)が実現した。さらに、平成6年以降混乗近代化船が、平成7年にP船の洋上メンテナンス制度が、それぞれ実用化された。 近代化要員としては、甲・機両用の職員又は部員として、W/O、kW/O、DPC、また、事務部員でもkSの制度が設けられた。その養成のため、商船大学、商船高等専門学校、海員学校等の学制が大幅に改組された。 近代化を推進するなかで、我が国の運航技術はさらに向上し、相当完成度の高いものとなった。また、船員の意識改革が行われ、船内文化が変わってきた。そのことが、近代化をここまで成功に導く基盤となった。国際経済情勢の変動は著しく、順風ばかりではなかったが、近代化は我が国外航海運の国際競争力の維持に一定の役割を果たした。 近代化は、船員をはじめとして、船員・海運問題に係わる官公労使関係者が総力を挙げて取り組んだ大掛かりなプロジェクトであった。近代化推進に当たって構築してきた官公労使の協力体制自体にも高い評価が与えられよう。 2. 近代化の現状
近代化船は、昭和58年に初めて実用化されて以来、当初は年々増加し、我が国外航船の中核的な地位を占めることが期待され、昭和62年12月には222隻に達した。しかし、その後、急激な円高のため海外売船により我が国外航船全体が大幅に減少するなか、近代化船も減少傾向に陥り、平成6年には一時80隻を割り込んだ。平成6年に混乗近代化船が実用化されてからは、若干回復し、その後100隻弱で推移している。 そのなかで、日本人船員フル配乗の近代化船から混乗近代化船への移行が多く、新マルシップ等から混乗近代化船への移行も見られ、近代化船の過半は混乗近代化船である。また、P船の大半は、洋上メンテナンス制度を活用している。 近代化要員のうち、W/Oは、近代化教育の進展により、年々増加してきている。しかし、kW/O、DPC、kSについては、当初かなりの人数が養成されたが、部
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