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4.4 液状化物質運搬船の要件の明確化

(1) 議論に至る経緯
 SOLAS条約第?章第6規則第2項は、微粉精鉱等液状化物質の運送に関する規定であり、この中には、発効時点(1994年1月1日)より、主官庁が認める特別な構造又は設備を有する船であれば、貨物の水分値がTML以上であっても液状化物質を運送しても良いとの記述がある。(3.6節参照)
 BC小委員会(DSC小委員会の前身)においてBCコードの強制化が審議された結果、BCコード中の液状化物質運搬船の要件をSOLAS条約第?章に取り入れること(第6規則第2項の修正及び2.1項、2.2項の追加)で小委員会は合意し、条約の改正案はMSC 65において承認された。DSC小委員会の前回会合(DSC 1)において、IACSは液状化物質運搬船の要件が明確で無いため、さらに具体化して欲しいとの提案を行ったが、この問題に関する特段の進展は無かった。その後、MSC 65で承認された条約改正はMSC 66において採択されなかった。さらにIACSはMSC 67に、MSC 65で承認したものと同様のSOLAS条約第?章改正案を提出し、この改正については再度、本小委員会の今次会合で検討することになった。
(2) DSC2における審議状況
 IACSより、SOLAS条約第?章第6規則第2項に述べられている液状化物質運搬船の要件は具体的では無く、こうした船舶を承認することができないとの問題が指摘された。また、IACSは小委員会に情報収集を求めた。一方議長は、IACSに研究するよう求めたところ、IACSは、土質工学の知識が必要であり、研究の予定は無いとの回答をした。さらに議長が、液状化物質運搬船の要件を条約から削除する(全ての液状化物質は運送許容水分値以下の水分値で運送することにする)ことについても意見を求めたところ、カナダは、この要件は条約から削除すべきでは無いとの考えを示すとともに、穀類を積載する場合と同様の計算を行ったことがある旨を述べた。この問題は、ばら積み船関連のWGで検討されることとなった。 WGにおいてはIACSがMSC 67に提案した条約改正及び運送許容水分値を超える水分値を有する液状化物質を運送する際の要件の削除(液状化物質は全て運送許容水分値以下の水分値で運送することにする改正)の是非について様々な意見がだされた。カナダは、実際に運送許容水分値を超える水分値を有する液状化物質を運送しており、主管庁の承認により水分値にかかわらず液状化物質を運送するための規程は削除すべきでは無いとの意見を述べた。ギリシャは、明確な理由が無い限り条約を改正すべきでは無いとのMSCの決定を理由として、条約の改正は不要であるとの考えを示し、条約は改正しないことでWGは合意した。
 本件については各国は次回会合に情報を提供するよう小委員会に求められている。本委員会では、特殊貨物船舶運送規則の規定を調査するのみならず、貨物をHeavy Liquid Cargoとみなした場合の復原性計算をも実施している。こうした研究成果を今後如何に活用する

 

 

 

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