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3.4. 液状化物質判別試験の開発

3.4.1. 概要
 本研究の目的は、固体ばら積み物質が航海中に液状化する恐れのある物質か否かを判定するための試験法を開発することである。本研究により開発した試験を、液状化物質判別試験(Liquefaction Potential Test)と呼ぶ。液状化物質判別試験の位置付け及び試験結果の適用範囲については、3.3節を参照されたい。
 液状化物質判別試験は、粒径分布に基づいて液状化物質か否かを決定する際のクライテリアに関する研究においても用いられた。
 本節では、開発した液状化物質判別試験の手順を示すとともに、試験手順の根拠となった試験結果を紹介する。なお、液状化物質判別試験については、参考−1(IMO提案文書)の付録−1に、基になる研究成果については付録−2にまとめられているため、一部の図表については、参考−1を参照されたい。

 

3.4.2. 液状化物質判別試験の原理
 3.3節で述べた通り、固体ばら積み物質の液状化危険性評価法全体を通した基本原理は、船倉内のビルジは排出されるという一般的な航海の条件下において、液状化が問題となるような水分を含むことができない場合には、この物質は液状化の可能性がないと判定するものである。
 液状化物質判別試験では、与えられた物質がこの条件を満たすか否かを判定するため、試料を一度飽和状態にし、容器の底部に設けられた孔から試料内の水を排水した後、試料の飽和度を測定して、その飽和度がクライテリアより低い場合は、その物質は液状化では無いと判定する。
 飽和度のクライテリアは、BCコードに記載されているプロクター/ファガベリ法に倣って、70 % とした。ここで、飽和度 70 % に対応する水分値は、流動水分値では無く運送許容水分値にすること、即ち安全余裕を見込んだ値であることに留意されたい。但し、プロクター/ファガベリ法が石炭には適しないことから、液状化物質判別試験も石炭には適用すべきでは無い。そのため、試験法の適用対象物質には、真密度によるクライテリアを設けた。

 

032-1.gif

図3.4.2.1 飽和度の説明(H8)
図3.4.2.1に示した記号を用いれば、飽和度Srは次の式で表すことができる。

032-2.gif

即ち飽和度とは、試料内の空隙において水が占める体積ベースの割合を意味する。

 

3.4.3. 試験容器の概要
 液状化物質判別試験の手順については、3.4.4節を参照されたい。試験容器は、参考-1(IMO提案文書)の付録1−図2に示した。また、試験に必要なその他の装置については

 

 

 

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