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基調講演

『ボランテイアヘの期待』

埼玉県副知事坂東眞理子
皆さんこんにちは。ただ今ご紹介を頂きました埼玉県副知事の坂東でございます。埼玉県に参ったのは昨年(95年)の4月で、あっと言う間に1年以上経ってしまった感じです。改めて地域の中で、直接行政と市民・県民の皆様との関わり合いの中に少しつつ触れさせて頂いておりますと、「世の中が変わってきているなあ」「今までのやり方ではやれなくなってきているのだ」と、今までの行政のいろいろな政策決定の真ん中にいた人達と異なる発想を持った人達が、異なるやり方で様々な形で参加し、いろいろな仕事をしていかなければならないという事を痛感しております。
今までと異なる発想をもった人の中には、女性やプロの行政以外の人というのが入るかと思いますが、この度の阪神・淡路大震災の際に大変話題になりましたボランティアも、今までの日本の発想法からすると、大変新しいやり方の人達が社会の表面に出てきたなあと思いました。改めてボランティアというものについて皆さんが真剣に考え始め、これがどういうふうなインパクトを社会や世の中に与えるであろうかという事で、今日のこの機会が持てたのではないかなと思います。
●アメリカで経験したボランティア精神
個人的な話になりますが、私がボランティアと言われた時に直ぐに思い出すのはアメリカでの経験です。私がアメリカで留学生活を送りました時に、お金や或いは将来この人と仲良くしておけば役に立つ事があるのではないかという事ではなく、全くの無償性で、本当に親切にしていただいたジョンズさんご夫妻のことです。英語も未だ上手に喋れない留学生の私を殆ど毎週のように招待して、特別扱いではなしに心温まる手料理を御馳走して下さり、「何でも私達にやれる事があったら遠慮なく言ってくれ」と言って、親身になってお世話をしていただきました。
もう既に70才で、企業年金で生活をしておられるご主人と、ずっと専業主婦でやってきたメアリーという奥様の2人で住んでいらっしゃいます。まだまだとてもお元気で、ボランティア活動をするだけの時間もエネルギーもあり、いろいろとお世話をして下さいました。
その時に「どうしてこんなに親切にして下さるのですか」とボランティアについて話しました時に、とでも印象的だったのは、「私は社会で教育を受け、ちゃんとした仕事をし家族を持ち、幸せな人生を送ってきたけれども、これはこの社会が私に与えてくれたものだ。今度は私が社会の為に何か出来る事をする番だ。それから眞理子(彼女達は私をそう呼びます)と一緒にいると面白いから好きでやっているのだ。お返しだとかそんな事など

 

 

 

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