日本財団 図書館


 

基調講演

 

『ボランティア団体の社会的役割と自立』

 

マイアミ「タイムダラー」所長 アナ・ミヤレス

 

司会
続いて、アナ・ミヤレスさんに「ボランティア団体の社会的役割と自立」ということでご講演をお願いします。アナさんはアメリカ、フロリダ州マイアミを中心とした時間預託方式のボランティア制度「タイムダラー」の所長として活躍されています。またタイムダラー普及のために全米38州でご指導にあたっておられます。またアナさんは今はボランティア活動をされておられますが、元銀行の副頭取もされたことがあります。
通訳はヘロン久保田雅子さんにお願いしています。ヘロンさんはアナさんとは親しい間柄でして、愛媛県の関前村という過疎地でタイムダラーを導入し、実践されています。

 

●タイムダラーのボランティア活動

 

皆さん、こんにちは。タイムダラーについて田中さんからさきほどご説明がありましたが、タイムダラーというのは普通のボランティアグループではないということを先ず、ご説明します。タイムダラーは今まであるボランティアグループを一緒に統合できるシステムです。アメリカにもいろいろなボランティアグループがあり、地域活動をしております。ただボランティアグループというのはとかく排他的で、自分たちだけが良いことをしているという意識が強く、他と協力することをあまりいたしません。しかし、タイムダラーのシステムでは協力して共同体を作っていこうとするものです。
タイムダラーは福祉関係だけのボランティアをするシステムではありません。人と人とが助け合って新しいプロジェクトを作っていく要素を持っています。そしてタイムダラーは伝統的なボランティアグループともちょっと違って、新しい形のボランティアです。この新しい形のボランティアでは、社会をもう一度新しくデザインしていく要素があります。そうした社会のなかでは、行政・企業・各ボランティアグループ・住民たちとが互いに協力し合い、2000年に向かって何か新しいことをしていきます。
よくボランティアは専門家の仕事を取り上げるのではないかということを言われますが、私たちは決して専門家の仕事を取り上げるのではなくて、私たちが活動することによって専門家はもっと違った重要な専門的な仕事ができるようにしています。また、アメリカのボランティアシステムでも珍しいと思いますが、タイムダラーはいろいろなボランティアグループのために地域からボランティアをリクルートする、協力してくれる人を募集するといった仕事もしています。これはリクルートしてきたボランティアを各ボランティアグループに配属し、地域で活動してもらうためです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION