情報安全保障は、情報自体の保護対策という消極的な側面だけではなく、国としての情報イニシアティブの確立という積極的な側面もある。情報産業の育成、情報利用環境の整備等によって、一国における情報イニシアティブを確立しないと、他国の情報侵略を受け、国の基幹産業、経済社会活動、国民生活へ多大な影響を受けることになるという問題である。第2章で記述されたEDIや電子マネーという極めて現実的で今日的なプロジェクトが、日本の商業取引の在り方を国際的な舞台で見直しすることが求められているのであり、金融政策にまで影響を及ぼしかねないとされているのである。国の行政機関、地方公共団体だけではなく、民間団体、国民等、国をあげて検討し、確立することが求められる今後の重要な課題であることは間違いない。