2-1-3 浜松地域における電子市役所実験プロジェクト
静岡県浜松市を中心とする浜松地域において、電子市役所実現のための取組みがなされている。
これは「浜松地域自治体ネットワーク整備促進研究会」(郵政省、静岡県、浜松市、学識経験者、民間企業等で構成)が平成6年度に設立され、全国に先駆けた各種の実験プロジェクトが積極的に展開されているなかの一つである。
この研究会での実験プロジェクトとしては、電子市役所のほか未来自然観察館、遠隔医療、電子文化施設の4つが設けられている。また、新たな実験テーマとして保健福祉支援システムと未来型教育支援システムが加えられているところである。ここでは、これらのなかから電子市役所の実験プロジェクトの検討の動向を見ることとしたい。
(1)電子市役所によるサービス提供の意義
現行の行政窓口サービスで、一般の地方公共団体が抱えている問題点は、電子市役所の実現により解決が可能であるとしている。また、電子市役所によりワンストップサービスが実現され、将来はノンストップサービスへの道を開くものであるともしている。
具体的には、住民からの窓口サービスの問題点としての、遠い窓口、時間制限された窓口、並列している窓口、一方向の情報提供や、行政が抱える窓口サービスとして多様化する住民ニーズへの適切な対応などの問題点を克服することにある。
このためマルチメディア技術を利用し遠隔行政窓口サービス、無人行政サービスを提供し、行政手続き事務の高度化を図る。これにより住民の諸手続き、行政情報の入手、行政相談などといった行政サービスが受けやすくなり、「便利になる」というだけでなく、施設利用や行事参加が容易になり、充実した生活に貢献できるとしている。
また、地方公共団体においても、この電子化により、住民サービスの改善、申請用紙等の節約等によるムダの排除が進み、より重要で必要な事業への資源配分は可能になるとみている。
(2)電子市役所のサブシステムの概要
電子市役所実験プロジェクトでは、次の3つのサブシステムを準備している(図2-1-3参照)。
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