である。
以上のシステム分野のうち、?@?Aの事務処理系システムの状況をみると、業務対象がきわめて大規模で、申請・届出等の処理手続きが法令の規定等により定型化された大量・定型業務の処理が中心であり、コンピュータの利用形態も大型汎用機を中心とした集中処理管理形態が主流である。
これらの業務分野における行政機関のコンピュータの利用については、我が国を代表する優れたシステムも少なくなく、この面での情報化は民間や諸外国と比較しても遜色のない進展を見せている。
しかし、一方で行政事務全般への利用については、ワードプロセッサや政策支援データベースシステムの端末装置の利用に止まり、組織内外との情報の流通はぺーパーによる文書情報が基本とされ、さらに、許認可等業務システムにおいても、その国民・企業との間の申請・届出等の受付・受理は書面処理を原則とし、必ずしも行政部内および官民接点での情報通信技術の活用が十分とはいえないのが実態であった。
1−1−2 行政情報化推進計画の策定
(1)策定までの経緯
1990年代に入り、情報システムを巡る技術環境や経済社会全般にわたる情報化は著しい進展をみせてきた。すなわち、技術環境面においては、ネットワーク化、オープンシステム化、ダウンサイジング化、マルチメディア化などの変化が急激に進行し、パソコンに代表される機器の操作性の向上や高機能化・低価格化が進んだ。その結果、これまでの定型的な業務分野に加え、非定型的な様々な業務分野へも利用を拡大し、パソコン等の情報通信機器を行政の組織活動に不可欠なものとして定着させる可能性がでてきた。
また、経済社会の情報化の面においても、民間企業では経営戦略やリストラに応用するなど、その企業経営の核心的部分にまで情報システム化が進行し、国民生活においても、パソコン通信や各種データベースを活用した情報サービスが浸透してきた。
これに比べ、国の行政機関では、前述のとおり、組織内外の情報の流通は依然として紙がベースであり、しかも情報機器等の装備においても民間部門や諸外国の行政機関に比べ立ち遅れていることが指摘された。この情報化の官民格差は、そのまま効率やサービスの格差につながり、そのままでは行政が社会経済全体の足を引っ張る可能性が危倶
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