で全水産物輸入額の46%を占めたが、91年には31万トン・金額で4129億円で全水産物輸入額の24.5%を占める。エビ輸入量はこの期間に85倍に増えた。日本への輸出用のエビの養殖によってタイやインドネシアの沿岸部のマングローブ林が破壊され、沿岸部が激しく汚染された。日本の木材輸入額は67年には9.3億ドルであったが90年には74.7億ドルになった。そのかなりの部分(90年には輸入総額の27%がマレーシアとインドネシアから)が熱帯林から来、熱帯林の破壊を引き起こしている。
94年の平成のコメ騒動の時、日本が250万トンのコメ緊急輸入を公表すると、生産量の4%(1500万トン)ほどしか貿易されていない薄い世界コメ貿易市場の貿易米価はタイやアメリカで4ケ月ほどで倍以上に急騰し、タイやインドネシアの小売り・農村米価が7〜30%ほど上昇した。35)日本はウルグアイ・ラウンドの農産物貿易交渉で21世紀のかげでコメの輸入量を増やしてゆく合意をした。日本が平成のコメ騒動の緊急輸入とその後この農業合意のコメ輸入を行った場合のコメの国際貿易価格への影響を自己相関モデルで推計した結果が図5である。推計された貿易米価は93〜2000年の期間上下するが、平均的には92年の2倍ほどになる。従ってアジア諸国の小売り米価は20〜30%ほどは上昇しよう。これは、アジアに集中している貧困人口(世界合計11億の内7億人)、飢餓人口(8億人の内5億人)を危機に陥れる。政治財であるコメを価格にかかわらず輸入しようとする(輸入需要の価格弾力性の小さい)日本の行動は、世界コメ貿易市場の価格を一層不安定にしよう。安く安定した米価が非常に重要である膨大なアジアの人々を考えると、日本はコメ輸入をすべきではない。日本のコメ自給は日本国民にコメを安定供給できるだけでなく、アジアのコメの安定にも役立つ。
6 21世紀のかけての穀物需給の逼迫
以上の分析から明らかなように、欧米の農業保護政策の保護削減への転換、穀物供給への自然資源と農業技術の制約、人口爆発と経済成長に基づく中国を中心とした飼料穀物需要の急増により、世界の穀物在庫が21世紀にかけて長期に低位に維持され、穀物価格は上昇しよう。
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