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から年1000〜2000万トンの純輸入を続けている。アメリカ農務省の最近の出版物34)によれば、1994〜95年に北京政府は中国の食糧の長期需給の検討を国内国外から迫られ、各省庁や大学で研究させ、その結果過去堅持してきた食糧自給戦略を修正して、88〜95%の自給戦略に転換したようだという。95年に中国は小麦、とうもろこし、コメを年1.12、1.09、1.29億トン消費する。88%の自給率では年合計4千2百万トン(コメは白米で1550万トン)という膨大な量の穀物を輸入することになる。世界総生産量に対して貿易量が多い(厚い)小麦やとうもろこしの世界貿易市場は中国の大量輸入に耐えられるが、総貿易量が1500万トンほどと少なく薄い世界コメ貿易市場は大混乱と貿易米価の暴騰も予想される。80年ころから最近までの中国を中心としたアジアやその他途上国の穀物需要の急増は、世界の穀物在庫率を引き下げるように作用したと考えられる。

 

5 日本の農林水産物輸入の影響

 

FAOの統計によれば日本は世界の農林水産物を94年に706億ドル輸入する世界最大の農林水産物輸入国である。ドイツ、フランス、イギリスは同年それぞれ519、332、331億ドルづつ輸入している。日本は戦後農林水産物の輸入に関して、これら欧州諸国と比べ特異な行動を取ってきた。61年の日本の農林水産物の輸入額の世界総貿易額に対する割合は5.6%であったのが94年には9.4%と2倍近くに増加してのに対し、フランスとドイツのこの比率は同じ期間にそれぞれ6%ほどと10%ほどであまり変わらず、イギリスは15%ほどから6%ほどに低下した。また日本の農林水産物の輸入額は、同じ期間に23億ドルから706億ドルヘ30倍ほどになったのに対し、例えばドイツでは42億ドルから519億ドルヘ12倍にしかなっていない。日本は欧州諸国に比べ戦後工業生産と工業品の輸出をより重視する経済成長を行い、その反映として農林水産物の輸入依存をより強め、国内農林水産業をより圧迫する政策を取ってきた。日本は農林水産物を輸入しすぎているのではないか。
日本のエビ輸入は主としてアジア諸国からなされ、62年に3642トン・金額で22億円

 

 

 

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