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しつつある、といわれる。1960年頃からアフリカでは砂漠化の進行、東南アジアや中南米では熱帯雨林の消滅、さらにヒマラヤやアンデス、東アフリカの高地などで山岳地帯の崩壊の報告が相継ぐようになった。これらの環境破壊の根底に人口増加と貧困の悪循環があることは、多くの人によって指摘されているとおりである。しかしながら、今日までの地球環境の悪化、たとえば二酸化炭素の排出による地球温暖化やフロンガスによる大気のオゾン層の破壊は、実は先進工業国がこれまで長年継続してきた大量生産、大量消費、そして大量投棄の結果だといわれている。先進工業国の人口は世界人口のわずか1/4だが、現在まで世界の資源の3/4以上を消費してきた。しかしこれまでは、大量生産・大量消費はむしろ美徳であり、それは経済開発、生活水準の上昇、そして豊かさの象徴であった。ここに至って、開発と物質的豊かさを目標としてきた先進国・途上国は大いに戸惑い、にわかに価値観、パラダイムの転換を迫られるに至っている。そこで生まれてきた考え方の一つは「持続可能な開発」であるが、しかしいかに持続可能な開発を行うかについて、必ずしも国際的なコンセンサスが得られているわけではない。
これまでの地球的規模の環境破壊は、先進工業国の長年の大量生産・消費の累積的効果によるものであるが、前述のとおり、最近では途上国における人口圧迫のために、元来開墾すべきではない地帯にまで農業・牧畜を拡大して環境破壊を引き起こすという傾向が顕著となっている。このことは、ジャーナリズムがいささか誇大に報ずる傾向があるとしても、多くは真実であろう。しかし先進国が「持統可能な開発」を叫んでも、途上国には、それがようやく本格的に開発を行い豊かになろうという矢先にそんなことをいわれても、それは聞えませぬという考え方があることも事実である。この潜在的南北対立の構図は決して解消されたとはいい難い。世界の人口問題、特に途上国の人口増加を出生率抑制によって鎮静化することは、これまで開催された世界人口会議の最高の目標であった。1994年のカイロ会議において、人口間題解決のための切り札として登場したのが、女性のエンパワーメントとリプロダクティブ・ヘルスの考え方である、
これまで途上国は先進国の援助を受けて、家族計画普及活動を積極的に展開し、出生率低下を経験してきた。しかし中には、女性の健康を守ることや個人の自由な避妊

 

 

 

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